ウパダシチニブ、体軸性脊椎関節炎患者の治療薬として欧州医薬品委員会が承認を推奨
2022年7月12日
アッヴィ合同会社
ウパダシチニブについて、活動性のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎の成人患者さんの治療薬として欧州医薬品委員会(CHMP)が承認を推奨
ー 第III相SELECT-AXIS 2試験において、ウパダシチニブ群がプラセボ群と比較して主要評価項目である14週時のASAS40を達成したことに基づくCHMPの肯定的見解1
ー X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)は体軸性脊椎関節炎(axSpA)の1種で、脊椎の炎症により背部痛およびこわばりを引き起こす2,3,4
ー 欧州委員会(EC)の決定は2022年第3四半期の予定
イリノイ州ノースシカゴ、2022年6月27日—アッヴィ(NYSE: ABBV)は本日、ウパダシチニブ(15 mg、1日1回投与)について、C-反応性蛋白(CRP)の高値または磁気共鳴画像(MRI)により客観的な炎症の徴候が認められ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で効果不十分であった活動性のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)の成人患者さんの治療薬として、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が承認を推奨したことを発表しました*。
アッヴィのvice president, development, chief medical officerである Neil Gallagher, M.D., Ph.D.,は次のように述べています。「axSpAの患者さんは診断までに時間がかかることが多く、また診断がついても、炎症、背部痛、こわばりといった症状をコントロールできる治療選択肢は限られています。CHMPがnr-axSpAの患者さんの治療薬としてウパダシチニブの承認を推奨したことは、困難な状況にある患者さんに新たな治療選択肢を提供する上で重要な節目と言えます」
CHMPの肯定的見解は、欧州委員会(EC)に対する製造販売承認の科学的推奨となるものです。ECによる評価を経て、欧州連合(EU)の全加盟国、ならびにアイスランド、リヒテンシュタイン、北アイルランドおよびノルウェーにて有効となるECの決定が行われます。
nr-axSpAを対象とするウパダシチニブの承認申請は、第III相SELECT-AXIS 2試験の結果に基づいており、そのトップライン結果は2021年に既に発表されています。この第III相試験のうち、SELECT-AXIS 2 nr-axSpA試験において、主要評価項目であるASAS40[国際脊椎関節炎評価会(ASAS)基準でベースラインから40%改善]および順位付け副次評価項目の14項目のうち最初の12項目を達成しました1。安全性データについて、既知のウパダシチニブの安全性データと比較して新たな安全性リスクは特定されなかったことが既に報告されています1。
現在欧州においては、中等症から重症の活動性関節リウマチ、活動性関節症性乾癬(乾癬性関節炎)、活動性強直性脊椎炎および中等症から重症のアトピー性皮膚炎の患者さんに対するウパダシチニブの使用が承認されています5。
ウパダシチニブのnr-axSpAに対する使用は、米国または欧州において承認されておらず、本剤の有効性および安全性の評価が行われています。
SELECT-AXIS 2 プログラムについて
SELECT-AXIS 2 試験(NCT04169373)は、マスタープロトコールに基づいて実施され、独立した2つの試験[SELECT-AXIS 2 AS(bDMARD-IR)試験(試験1)およびSELECT-AXIS 2 nr-axSpA試験(試験2)]で構成されます。
SELECT-AXIS 2プログラムに関する詳細は、欧州についてはhttps://www.clinicaltrialsregister.eu/ (2019-003229-12)、米国についてはwww.clinicaltrials.gov(NCT04169373)に掲載されています。
試験1:SELECT-AXIS 2 AS(bDMARD-IR)試験6
第III相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験では、改訂ニューヨーク基準を満たし、強直性脊椎炎の活動性指標(BASDAI)スコアが4以上かつ全般背部痛スコア(0~10の数値化スケール)が4以上で、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)療法で効果不十分であった強直性脊椎炎と臨床的に診断された患者さん420名を対象に、ウパダシチニブ群の有効性および安全性をプラセボ群と比較して評価しました。
試験2:SELECT-AXIS 2 nr-axSpA 試験1
第III相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験では、nr-axSpAと臨床的に診断された患者さん314名を対象に、ウパダシチニブ群の有効性および安全性をプラセボ群と比較して評価しました。MRIによる仙腸関節の炎症所見またはスクリーニング時に正常値の上限(2.87 mg/L)を超える高感度C-反応性蛋白(hs-CRP)値を呈することにより活動性の炎症の徴候が認められ、BASDAIスコアが4以上で全般背部痛スコア(0~10の数値化スケール)が4以上の患者さんを本試験へ組み入れました。
体軸性脊椎関節炎(axSpA)について
体軸性脊椎関節炎は、脊椎に影響を及ぼし、背部痛、運動制限および構造的損傷を引き起こす慢性の炎症性疾患です4。臨床的にX線基準を満たす体軸性脊椎関節炎(強直性脊椎炎)またはX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)と定義された2つのサブセットで構成されます4。強直性脊椎炎の患者さんでは、X線画像で明らかな仙腸関節の構造的損傷が認められます4。nr-axSpAは、単純X線撮影で仙腸関節の構造的損傷を示す明確な画像所見がないことで、臨床的に定義されます4。
ウパダシチニブについて5
アッヴィの科学者が発見し、開発したウパダシチニブは、複数の免疫介在性炎症性疾患を対象に研究が進められている選択的なJAK阻害剤です。ヒトの細胞アッセイにおいて、ウパダシチニブはJAK2ペアを介してシグナルを伝達するサイトカイン受容体に対する機能的選択性により、JAK1またはJAK1/3を介するシグナル伝達を選択的に阻害します5。
体軸性脊椎関節炎、クローン病、巨細胞性動脈炎および高安動脈炎を対象とするウパダシチニブの第III相試験が進行中です7,8,9,10。ウパダシチニブのnr-axSpAに対する使用は承認されておらず、規制当局による本剤の評価が行われています。
リウマチ領域におけるアッヴィについて
アッヴィは20年以上にわたり、リウマチ性疾患とともに生きる患者さんの治療の向上に取り組んできました。革新的な治療を発見し、提供するという当社の長年の取り組みに基づき、より多くのリウマチ性疾患の患者さんを治療目標達成に導く、有望な新たな経路や標的への理解を深める最先端科学を追求していきます。詳細についてはhttps://www.abbvie.com/our-science/therapeutic-focus-areas/immunology/immunology-focus-areas/rheumatology.htmlをご覧ください。
アッヴィについて
アッヴィのミッションは現在の深刻な健康課題を解決する革新的な医薬品の創製と提供、そして未来に向けて医療上の困難な課題に挑むことです。患者さん一人ひとりの人生を豊かなものにするため次の主要領域に取り組んでいます。免疫疾患、がん、神経疾患、アイケア、ウイルス、ウイメンズヘルス、さらにアラガンエステティクスポートフォリオの製品・サービスです。アッヴィの詳細については、www.abbvie.com をご覧ください。Twitterアカウント@abbvie、Facebook、LinkedInやInstagramでも情報を公開しています。
References:
1.Deodhar, A, et al. Efficacy and Safety of Upadacitinib in Patients with Active Non-Radiographic Axial Spondyloarthritis: a Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Phase 3 Trial. EULAR 2022 Congress; 2534.
2.Crossfield SSR, Marzo-Ortega H, Kingbury SR et al. Changes in ankylosing spondylitis incidence,
prevalence and time to diagnosis over two decades. RMD Open 2021;7:e001888. doi: 10.1136/rmdopen-2021-001888.
3.Mayo Clinic. Ankylosing Spondylitis 2019. Available at: https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/ankylosing-spondylitis/symptomscauses/syc-20354808. Accessed April 2022.
4.Deodhar AA, Understanding Axial Spondyloarthritis: A Primer for Managed Care. Am J Managed Care. 2019;25:S319-S330.
5.RINVOQ [Summary of Product Characteristics]. AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG; May 2022. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/rinvoq-epar-product-information_en.pdf. Accessed June 14, 2022.
6.Van der Heijde, D, et al. Efficacy and Safety of Upadacitinib in Patients With Active Ankylosing Spondylitis Refractory to Biologic Therapy: a Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Phase 3 Trial. EULAR 2022 Congress; 2518.
7.A Study to Evaluate Efficacy and Safety of Upadacitinib in Adult Participants With Axial Spondyloarthritis (SELECT AXIS 2). ClinicalTrials.gov. 2021. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04169373. Accessed on April 1, 2022.
8.A Study of the Efficacy and Safety of Upadacitinib (ABT-494) in Participants With Moderately to Severely Active Crohn's Disease Who Have Inadequately Responded to or Are Intolerant to Biologic Therapy. ClinicalTrials.gov. 2021. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03345836. Accessed on April 1, 2022.
9.A Study to Evaluate the Safety and Efficacy of Upadacitinib in Participants With Giant Cell Arteritis (SELECT-GCA). ClinicalTrials.gov. 2021. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03725202. Accessed on April 1, 2022.
10.A Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Upadacitinib in Subjects With Takayasu Arteritis (TAK) (SELECT-TAK). ClinicalTrials.gov. 2021. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04161898. Accessed on April 1, 2022.
*This recommendation is without prejudice to the final conclusions of the ongoing referral procedure under Article 20 of Regulation (EC) No 726/2004 resulting from pharmacovigilance data