開発中のlenacapavirについて、多剤耐性を有するHIV陽性者の 治療薬として、CMHPの肯定的見解を発表
2022年7月1日
ギリアド・サイエンシズ株式会社
開発中のlenacapavirについて、多剤耐性を有するHIV陽性者の 治療薬として、CMHPの肯定的見解を発表
–複数の治療歴のあるHIV陽性者において、年2回のlenacapavir投与により 高いウイルス学的抑制率を達成したCAPELLA試験の26週目データに基づく推奨―
-承認された場合、治療法の限られた患者さんに対し、lenacapavirは 新たに6カ月毎の治療選択肢となる可能性-
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は6月24日、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)が、開発中のlenacapavirについて、抗レトロウイルス療法の効果が得られない多剤耐性を有するHIV-1感染症の成人に対して、他の抗レトロウイルス薬との併用療法における肯定的見解を採択したことを発表しました。
CHMPの肯定的見解は、欧州における販売許可を与えるための欧州委員会(EC)への科学的推奨であり、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインを含む欧州連合メンバーである27の国々において医薬品の承認権限を有するECにより検討されます。最終的なECの決定は今年後半の予定です。
ギリアドのHIV臨床開発部門のバイスプレジデントであるジャレッド・バートン(Jared Baeten, MD, PhD)は、次のように述べています。「既存の治療レジメンでは効果的なウイルス抑制ができないHIVとともに生きる人々にとって、治療選択肢は非常に限られています。CHMPのlenacapavirに対する肯定的見解は、多剤耐性を有するHIV陽性者のための新たな治療選択肢となり得る重要な一歩であり、心強く思っています。私たちは、ECの最終決定と、lenacapavirが複雑な治療歴のあるHIVと共に生きる人々の重大なアンメット・ニーズに応える可能性を心待ちにしています」
本肯定的見解は、複数の治療歴があり、多剤耐性を有するHIV-1陽性者を対象に、他の抗レトロウイルス薬との併用でlenacapavirを6カ月毎に皮下投与した場合の抗ウイルス活性を評価する第II/III相、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験であるCAPELLA試験のデータに基づいています。このアンメット・メディカル・ニーズが高い患者さんのグループにおいて、最適化されたバックグラウンドレジメンとの組み合わせでlenacapavirを投与された患者さんの81%(29/36例)が26週時点でウイルス量検出限界未満(50 copies/mL未満)を達成しました。また、CAPELLA試験に登録された患者さんにおいて、平均CD 4細胞数の81個/μLの増加を達成しました。CAPELLA試験の最初の結果は、2022年5月11日発行のニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine)に掲載されました(Capsid Inhibition with Lenacapavir in Multidrug-Resistant HIV-1 Infection)。26週にわたり、lenacapavirは高い忍容性を示し、治験医師がlenacapavirに関連ありと判定した重篤な有害事象は認められませんでした。最も多く認められた有害事象は、注射部位の反応でした。
Lenacapavirは治験薬であり、いずれの規制当局からも承認されておらず、その安全性および有効性は確立されていません。HIVまたはエイズを治癒させる方法は、現在のところ存在しません。
Lenacapavirについて
Lenacapavirは、HIV-1感染症の治療と予防のためにギリアドが開発中のファースト・イン・クラスの長時間作用型HIV-1カプシド阻害剤です。ギリアドの長時間作用型HIV-1カプシド阻害剤lenacapavirの安全性、有効性および用量については、現在複数の進行中の臨床試験において評価中です。lenacapavirの作用機序は多段階にわたり、現段階で承認されている抗ウイルス薬のクラスとは異なり、HIV-1陽性者またはそのリスクを有する人々に対する長時間作用型治療として新たな道筋を作る薬剤として開発されています。大部分の抗ウイルス薬はウイルス複製の1段階のみに作用しますが、lenacapavirはHIV-1のライフサイクルにおける複製の段階を阻害するよう開発された薬剤で、現在ある薬剤クラスとの交差耐性は認められていません。承認された場合、lenacapavirは年2回の投与により作用する唯一のHIV-1治療選択肢となります。
CAPELLA (NCT0415068)試験について
CAPELLA試験は、複数の治療歴があり、多剤耐性を有するHIV-1陽性者を対象に、長時間作用型HIV-1カプシド阻害薬lenacapavirを6カ月毎に皮下投与した場合の抗ウイルス活性を評価する第II/III相、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験です。CAPELLA試験は、HIV-1を有する男女を対象に、北米、ヨーロッパ、アジアの研究施設で実施されています。
CAPELLA試験では、複数クラスのHIV-1治療薬に耐性を示し、既存治療でウイルス量が検出可能な被験者36名が失敗した現行レジメンに加え、2対1の割合でlenacapavirまたはプラセボに無作為に割り付けられ、14日間の経口投与を受けました(機能的単剤療法)。さらに、別の治療コホートに36名の被験者を追加しました。両コホートとも、最適化されたバックグラウンドレジメンと組み合わせた6カ月毎のlenacapavir皮下投与の安全性および有効性を評価する現在進行中の維持療法期に含まれています。主要評価項目は、現行の失敗したレジメンに加え、14日間のlenacapavirまたはプラセボを無作為に割り付けられた被験者の機能的単剤療法期終了時におけるHIV-1 RNA量のベースラインからの減少量≥0.5 log10 copie/mlを達成した割合としました。
被験者は、lenacapavirまたはプラセボに無作為に割り付けられ、失敗したレジメンを継続しながら14日間の機能的単剤療法を受けた後、非盲検下でlenacapavirおよび最適化されたバックグラウンドレジメンを開始しました。一方、別の投与コホートに登録された被験者は、1日目から非盲検下でlenacapavirおよび最適化されたバックグラウンドレジメンを受けました。現在継続中の本試験の維持療法期では、最適化されたバックグラウンドレジメンとの併用で6カ月毎にlenacapavirを皮下投与したときの安全性および有効性に関する追加の項目を評価しています。
詳細については、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04150068をご参照ください。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、全ての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。
ギリアドは35年間にわたり、HIV領域におけるリーディング・カンパニーとして、治療、予防、治癒研究の進歩を推進してきました。ギリアドの研究者たちは、HIV感染のリスクを減らすために、HIV治療における最初のシングルレジメンや、初めての曝露前予防(PrEP)となる抗レトロウイルス薬など、11種類のHIV治療薬を開発しました。このような医学研究の進歩によって、HIVは何百万人もの人々にとって予防可能な慢性疾患となりました。
世界中のHIV感染者の日々変化するニーズに対応するソリューションを提供するため、ギリアドは引き続き科学的イノベーションに取り組んでいます。また、パートナーシップと連携を通じて、教育の改善、医療へのアクセス拡大および障壁を取り除き、世界中の全ての人々のHIV感染の根絶を目指します。
ギリアドは、カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を展開しています。
ギリアドの将来予測に関する記述
本プレスリリースは、1995年の 「米国証券訴訟改革法」 に記載されている「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスク、不確実性などの要素を含む場合があります。これには、ギリアドが現在見込まれているスケジュールで臨床試験を開始、進行、完了する能力、あるいはそれらが全くできないリスク、lenacapavirに関するものを含め、現在進行中および追加の臨床試験で好ましくない結果が生じる可能性、ECがHIV感染者の治療のためのlenacapavirの販売承認を適時にまたは全く承認しない可能性があるリスクを含む、規制申請および関連する申請および承認のタイムラインに関連する不確実性、ギリアドがlenacapavirの開発中止を戦略的に決定し、結果としてlenacapavirが成功裏に商業化されない可能性、上記のいずれかの根拠となる仮定も含まれます。これらのリスクとその他のリスク等については、米国証券取引委員会(SEC)に提出済の2022年3月31日を期末とする四半期報告書(フォーム10-Q)に詳細に記載されています。これらのリスクや不確実性、およびその他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。歴史的な事実以外の全ての記述は「将来予測に関する記述」とみなされる可能性があります。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではなく、「将来予測に関する記述」に過度に依拠することのないようご注意ください。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。