悩みから抜け出したい、そのためには...
東京・信濃町にある真生会館の理事長を務める森一弘さんは、カトリック司祭(神父)の立場から、キリスト教について学びたい人や宗教に関わらず、人生そのものや生きるということについて考えたいと思う人たちのために、さまざまな講座・講演会を主宰すると同時に、50年以上もの間、相談に訪れる多くの悩める人や苦しむ人に向き合い、その声に耳を傾け続けてきました。
『「今を生きる」そのために』(扶桑社)では、そうした森さんの長年の体験から、誰しもに覚えのある「苦しみ」や「不安」「心の傷」怖れ」「無関心」などについて、それらをどのようにとらえ、そこからどのようにしたら抜け出せるかを、具体例を交えながら、わかりやすく紹介しています。明日を拓いていくためのきっかけを見いだしていけるように、7つの章から成る本書にちなみ、7回にわたって、本書の内容を紹介。
第7回 悩みを吹き飛ばすには、今を丁寧に生きること
生まれてきてから一度も悩んだことのないという人は、まずいないでしょう。悩みがなくなればいいのにと考えてしまう人も、少なくないでしょう。
でも、悩みの種は至るところにころがっています。「悩むの、やーめた!」とばかりにどこかで悩みを手離してしまわないかぎり、この厄介者にいつまでも囚われたままになってしまいそうです。
本書『「今を生きる」そのために』3章の「もうこれ以上悩まない」では、実際に著者が出会ってきた悩める人々の姿が描かれるとともに、私たちが悩みから抜け出すためにできることは、「もっともたしかな『今』に心をこめて向き合うことだ」と記されています。
たとえば、庭仕事をしているなら、植えつけや剪定などの作業に集中する、料理を作っているなら、美味しく出来上がるよう気持ちを注ぐ、子育て中なら、子どもと精一杯一緒に遊ぶ......ということになるでしょうか。とにかく、目の前のことに一生懸命取り組むことが大切なようです。
著者は、「過去は過ぎ去ってしまったことで手が届かないものだけど、未来は不確定なもの。今の積み重ねが未来につながる」ともいっています。
風船を膨らませ続けると、やがて破裂します。悩みのような負の感情を自分の中で大きく膨らませていれば、やがて自分がパンクしてしまいます。悩みに覆われて心や身体が病んでしまうことのないよう、気をつけたいものです。
今を生きていくために、私たちには何ができるのか?