第3回「自分自身のアップデートを怠らない」withコロナの「道しるべ」
東京・信濃町にある真生会館の理事長を務める森一弘さんは、カトリック司祭(神父)の立場から、キリスト教について学びたい人や宗教に関わらず、人生そのものや生きるということについて考えたいと思う人たちのために、さまざまな講座・講演会を主宰すると同時に、50年以上もの間、相談に訪れる多くの悩める人や苦しむ人に向き合い、その声に耳を傾け続けてきました。
11月28日に新発売された『「今を生きる」そのために』(扶桑社)では、そうした森さんの長年の体験から、誰しもに覚えのある「苦しみ」や「不安」「心の傷」怖れ」「無関心」などについて、それらをどのようにとらえ、そこからどのようにしたら抜け出せるかを、具体例を交えながら、わかりやすく紹介しています。明日を拓いていくためのきっかけを見いだしていけるように、7つの章から成る本書に因み、7回にわたって、本書の内容を紹介していきます。
第3回「自分自身のアップデートを怠らない」
先日テレビを見ていたら、悩み相談のようなコーナーで「独身だからといって、大変な病棟の担当を押し付けられるので困っている」という看護師さんからの悩みについて、タレントのサヘル・ローズさんが「押し付けられると思わずに、『その仕事を担当する余裕が自分にある』と考えるようにすれば?」と言われていました。
これを「きれいごとだ」と言ってしまえばそれまでですが、「押し付けられた」「嫌だ」「つらい」と思っているばかりでは、ますます負の思いにがんじがらめになってしまい、自分で自分を追い詰めてしまうでしょう。サヘルさんの言葉通りにはできなくても、せめて「そういう見方もあるかもね」と受け入れられる、そんな「余裕」を忘れずにいたいものですね。
本書『「今を生きる」そのために』の2章「新たな価値に目覚める」では、身体に不自由のある我が子の誕生によって、自分たちの生き方を見つめ直すことになった両親の話が語られています。私たちを取り巻く状況というものは、必ずしも自分の願うようにはならないことが多いです。今回のコロナ禍もそうですね。でも、どんな状況にあるときも、自分の内面は自由です。自分を更新する力はあるはずです。
今まで「こうでなくてはならない」と思い込んでいたこと、「○○が一番大事」と決めつけていたこと、そんな自分の価値観からふっと離れてみたとき、心は軽くなり、生きやすくなるかもしれません。
今を生きていくために、私たちには何ができるのか?