ガス欠でバイクが動かない!若者が路上に座り込んだ ベンツからコワモテの男が出て、若者に向かって走っていき(東京都・50代男性)
バイクでツーリングの途中、よもやのガス欠。バイクを引いて歩くも、途中で疲れてへたりこんでしまった。
動けないところに、見た目が怖そうな男性がやって来る。「覚悟」した瞬間、事態は意外な方向へ。
東京都在住の50代男性・いつきさんの思い出。
<いつきさんからのおたより>
今から30年以上前。友人と二人で、バイクで東京から九州は福岡に住む別の友人に会おうとロングツーリングに出かけた時の出来事です。季節は初夏でした。
順調にパーキングエリアで野宿(ベンチでごろ寝してただけですが)をしながら、目的地へ向かっていました。
いよいよ関門橋を超え、九州へと入ろうかと言う時にトラブルは起きました。
給油を先延ばしにし、次のパーキングエリアで給油すればいいかと呑気に考えていたのですが、まるで給油ポイントがありません。脂汗を流しながら「九州に入れば!」と開門橋の半ばくらいに到達したときです。
そこで恐れていた事態、ガス欠でバイクが止まってしまいました。
殴られたら痛いだろうなあ
無線も何もないため、友人は気がつかずに行ってしまい、私は取り残されて呆然としながらバイクを手で押して前進することに。
しかし10メートルも進むと猛烈な疲れが襲ってきて、その場にバイクを止め道路に座り込んでしまいました。
後続車に跳ねられる恐怖感もありましたが、頭の中はパニック状態で「どうしよう、どうしよう!」と思考が空回りするばかり。
数分間そうして座っていると、少し離れた位置で一台の車が止まりました。
大きめのセダンタイプの車で、目に入るガラスはフルスモーク仕様。「あれ、ベンツだなぁ」と思った瞬間に、ドアを開けて運転手が飛び出してこちらに向かって走ってきました。
服装から髪型まで、ステレオタイプの「怖い人」でした。
路上に止まっている自分を邪魔だと因縁を付けにきたのだろうか、殴られたら痛いだろうなあとか思っていたら、その運転手が話しかけてきました。
「いいんだよ!兄ちゃんもいつか」
「兄ちゃん、ガス欠か?」
「??」とっさになにを言われているかわからずに固まっていると、
「ガソリンなら予備積んでるから、待っとけよ」
そういうと、運転手は車に戻り、ガソリンの入ったタンクを持ってきて給油してくれました。
ぎこちなく受け答えしている私に笑顔を見せ(とても怖い笑顔だったが)、「多いんだよ。ここは」とガス欠は私だけではないと慰め、給油が終わると、
「じゃあ気をつけていけよ」
と手を挙げ去っていこうとする運転手。これまでの自分の失礼な態度を思い出し、あわててお礼を伝え、ガソリン代を払おうとすると、
「いいんだよ! 兄ちゃんもいつか同じ状況に遭遇したときにそいつを助けてやれば、それでチャラだから!」
と笑いながら去っていきました。
神様にしか見えなくなっていた
今考えれば、きっと運転手も恥ずかしかったんだと思いますが、去りゆく運転手は第一印象とは違い、私には神様にしか見えなくなっていました。
こうしてバイクのエンジンをかけ、無事に関門橋を渡り、先で待っていた友人と合流し事なきを得ました。
その後は、いつかあの時の自分のように困っている人を助けられたらいいなと、ロングツーリングに行く時の荷物に、ガソリンを入れた携行缶が加わる事となりました。
あの時の運転手の方、本当にありがとうございました。
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