あの時、ああしておけばよかった。 人生において、そんな後悔を抱えていない人は少ないだろう。 岡山県在住の40代女性・Kさんもその一人。彼女の後悔は、若いころに顔見知りだったおばちゃんのことだ。 忘れられない思い出(画像はphotoAC) <Kさんからのおたより> 二十年来の感謝の気持ちをどうか伝えたくて......。 25歳の頃、バス通勤をしていました。朝のバス停でよく会うおばちゃんがいました。 次第に挨拶を交わすようになり、飴ちゃんをもらったことも。お互いのバスを待つほんの数分の間の、名前も知らないお付き合いでした。 自転車でバス停へ すっかり秋も深まったある日のこと。私はいつものように大慌てでバス停まで自転車を走らせました。自転車を停め、鍵を外したその時、うっかり手を滑らせて落とした鍵が、真下にあった側溝の蓋の穴にすっぽり入ってしまう、という大失態を犯したのです。覗き込んでも、真っ暗の穴の中は見えません。 時間もなく、その場は諦めバス停へ。私の様子を見たおばちゃんに事情を尋ねられました。 そしていつものように別々のバスに乗り込んだのですが、次の日の朝のこと。 自転車の鍵を落としてしまって...(画像はphotoAC) なんと、おばちゃんの手には私の自転車の鍵が! 帰宅後、暗い側溝の穴の中を照らし、伸ばしたワイヤーハンガーを釣り竿のようにして、私の鍵を拾ってくれたというのです。 名前も知らない私のために、わざわざ寒く暗い中、そのような親切な行動をしてくださったおばちゃんに驚くと共に、感謝してもしきれませんでした。 それなのに私は......。 どんどんと日が流れ... 私は退職の日を控えていました。 一人暮らしで車も持てず、いつも朝からバタバタしている私を、同僚や先輩などがよく車で迎えに寄ってくれ、朝バスに乗る機会は減っていました。 気が付くと退職の日を迎え、おばちゃんに改めてお礼を言うことばかりか、菓子折りの一つも渡さず終い。 私はバス停とは反対方向の新しい職場に通う日々となり、その二年後には結婚して別の町に引っ越しました。 おばちゃんへの不義理を抱えたまま、私はそろそろ、あの時のおばちゃんと同じくらいの歳を迎えようとしています。 妻となり母となるにつれ、おばちゃんの優しさがより身にしみ、そして自分の愚かさがより恥ずかしく今でも後悔は消えません。 少し早めに出て反対方向に向かえば、おばちゃんに会えたはずなのに。お金がなくたって精一杯の感謝を伝えることはできたはずなのに......。 もうおばちゃんに返せないなら、その恩を今度は他の誰かに渡していく番だと思い、これからを生きていきます。 【このコーナーでは読者のみなさんからの投稿を紹介しています】 名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」、あるいは「どんなもんだい!」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。 Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」「親切自慢エピソード」「親切目撃談」などを募集している。 読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。 読者投稿フォームから送る 公式XのDMで送る メールで送る ※本コラムではプライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください