旅先でかけられたその言葉は、人生で何度も思い出されるものになりました――。 神奈川県在住の50代女性(投稿時)・Sさんの、育児中の体験談。 幼い子らと宿泊した宿で(画像はphotoAC) <Sさんからのおたより> 今から20年ほど前でしょうか。小学生と幼稚園生の娘を連れて、家族で伊豆に旅行に行きました。 旅行といえど、小さい子供を連れており目が離せません。 私は心から落ち着いてのんびり過ごすことは、正直できていませんでした。 高そうな湯呑みを割ってしまって... 宿に着くと、担当の仲居さんが丁寧にご挨拶して下さり、子供達のことも大変気にかけて良くして下さいました。 一方私は、仲居さんの素晴らしく行き届いた心遣いに、感心するやら、ありがたいやら、自分はまだまだだな、と心ここにあらずの状態で急須でお茶を淹れようとしたところ、うっかり揃いの湯呑みをひとつ、ぶつけて割ってしまいました。 どうしよう、とても高そうなお湯呑み。弁償しなければと、すぐに仲居さんに来ていただき、事情をお話ししました。すると仲居さんは......。 湯呑みを割ってしまって(画像はphotoAC) 「お怪我はありませんか? 大丈夫。形あるもの、いつかは壊れます」 それだけ言ってさっと割れた湯呑みを片付けて持ち帰ってくれました。 「あの、お代は?」と言っても聞こえない素振り。翌朝フロントで支払いの際に事情を話し、弁償を申し出ましたが受け入れてもらえず、せめて担当の仲居さんに心づけをと申し出ましたが、それも丁寧にお断りされました。 翌朝、仲居さんの姿はなく... 担当の仲居さんの姿を翌朝はどこにも目にすることがなかったので、朝までの勤務で交代されたのかと思っていましたが、宿を後にする際、何事もなかったかのように手を振ってお見送りしてくださっているではありませんか! 気づいた時には間に合わず、手を合わせるように宿を後にしました。 「形あるもの、いつかは壊れます」。あれ以来、思いやり溢れるその言葉は、あらゆる場面で思い出され、子育て中においても何度登場したことか。 素晴らしい心遣いの言葉であると思います。心から感謝しています。 ありがとうございました。 【このコーナーでは読者のみなさんからの投稿を紹介しています】 名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」、あるいは「どんなもんだい!」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。 Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」「親切自慢エピソード」「親切目撃談」などを募集している。 読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。 読者投稿フォームから送る 公式XのDMで送る メールで送る ※本コラムではプライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください