「わたしは今日もまた遠野でかっぱを釣っています」 2025年9月13日、そんな呟きがX上に投稿され、大きな話題となっている。 「いつき」さん(@eki_itsuki)の投稿より 添えられていた写真に写っているのは、川の中に突き出された釣り竿(?)。 それに、ぶら下がっているのは......キュウリ、である。 かっぱの好物はキュウリ、と聞いたことはある。しかし、キュウリを下げた釣り竿でかっぱが釣れるのだろうか? というかそもそも、かっぱとは実在するのか(まさか?)。この人は一体、何を......? このポストには、1万7000件を超える「いいね」のほか、こんな声が寄せられている。 「つ、釣れますか」 「きゅうり一本で河童が釣れたら最高だよ」 「入れ食いだったらどうしようw」 「川底が見えるので、川は浅いと思われますので、もう少し川底の深い淵や沼が良いと思います」 「河童って馬を引きずり込むぐらいだから、パワータイプの妖怪だよね。 運良くあたりがあっても釣り竿が貧弱すぎて耐えられないと思う」 「カッパさんも 吊り上げたら キャッチアンドリリース でしょうか?」 「おそらくカッパは釣れないけど、遠野はいいところです」 X上は、いかにも興味津々のリプライが飛び交っている。はたして、かっぱは釣れたのか? Jタウンネット記者は、投稿者である釣り人・いつき(@eki_itsuki)さんに話を聞いた。 カッパ捕獲許可証で、キュウリ付き竿を借りる 「いつき」さん(@eki_itsuki)の投稿より、再掲 釣り人・いつきさんによると、岩手県遠野市で話題の写真を撮影したのは、9月13日の午後12時頃。 「半年ぶりにまったりしにきました とにかく落ち着ける場所で、しずかに釣り竿にきゅうりたらしながら遠野の風景の一部になれた気がします」(いつきさん) いつきさんの投稿をさかのぼってみると、確かに半年ほど前、3月23日にも「わたしは今日も 遠野でかっぱを釣っています」と呟いていた。 そして、23年8月19日にも......。 「いつき」さん(@eki_itsuki)の23年8月19日の投稿より どうやら、いつきさんは遠野の「カッパ淵」でかっぱを釣ることに魅了された、リピーターらしい。 カッパ淵(写真はphotoAC) 「カッパ淵」とは、曹洞宗の寺院「常堅寺」の裏手に流れる小川だ。 「もともと、この小川の淵にはカッパが多く住んでおり、人々を驚かし、いたずらをしたという話がたくさん残っています。 さらさらと流れるカッパ淵は、うっそうとした茂みに覆われ、いつカッパが現れてもおかしくはない雰囲気」(遠野市観光情報サイト「遠野時間」より引用) そんなカッパ淵でのかっぱ釣りは、誰でも好きにやっていいわけではない。 「カッパ捕獲許可証」が必要だ。 「いつき」さん(@eki_itsuki)の投稿より いつきさんはもちろん、許可証持ち。 なかなかシュールなデザインのこの許可証は、遠野駅前の遠野市観光交流センターか、かっぱ淵近くの遠野に伝わる民話の世界を体感できる施設「遠野伝承園」で購入できるという。 いつきさんは7~8年ほど前、遠野に〝妖怪観光〟のために訪れた際、「面白そうだから」と取得したそう。 「はじめは、なんだそれ、とか思ってましたが、釣れる釣れない、じゃないのです。 遠野物語の伝承民話妖怪話で出てくるスポットがそのまま今もあり、リアルで物語観光が出来る聖地に、ハマって毎年何度も来ています」 「自分がこの遠野幻想郷に一部になれるんです、この魅力がたまらなくてほぼ毎年数回は来て釣り糸たらしてます、いやいつかは河童釣りますけど!」(「いつき」さん) すっかり民話の聖地・遠野の虜となったいつきさんは、カッパ捕獲許可証(有効期限:1年間)を何度も更新しながら、この地に通い続けているそうだ。 許可証を持っていると、カッパ淵でキュウリ付きの竿を借りることができるんだとか。 求ム!カッパ目撃情報 遠野市観光協会によると、カッパ捕獲許可証は、2004(平成16)年から発行されている。 現在、2種類の許可証があり、ノーマルバージョンは1枚220円(税込み)。遠野市観光協会、遠野伝承園、オンラインショップ「遠野時間@Shop」で販売されている。 また、氏名・住所・顔写真入りの現地限定バージョンもある。こちらは1枚940円(送料税込み)、遠野市観光協会のみで発行される。 顔写真入りのカッパ捕獲許可証とは、なかなか渋い。5年連続で更新すると、ゴールドカードとなり、売店などでお土産購入が割引となるなどの特典もあるそうだ。 カッパ淵の祠(写真はphotoAC) ところで、カッパ捕獲を試みるいつきさんは、気になるポスターの画像も投稿していた。 「いつき」さん(@eki_itsuki)の投稿より 「カッパを探しています」というメッセージと、何やら心惹かれるイラストが描かれたポスターだ。 「1975年中旬頃、遠野市附馬牛町の猿ヶ石川で発見されて以来、遠野市ではカッパが目撃されていません。カッパの目撃情報を求めております」とも、記されている。 このポスターを発行しているのは、先ほどから何度も出てきている「遠野伝承園」。 電話して詳しく尋ねてみることにした。 遠野伝承園、乗込長屋(写真はphotoAC) 「1975年に目撃されたのは、事実ですか?」――記者がそう尋ねると、「その目撃情報をもとにイラスト化されております」という答えが返ってきた。 カッパを目撃したという市民への聞き取りをもとに、宮城から遠野を訪れていた洋画家の多田祐子氏に依頼し、モンタージュが作成されたということだ。 ポスターのなんとも味のあるイラストが、そのモンタージュらしい。 信じるか信じないかは、あなたしだいだが......。 「いつき」さん(@eki_itsuki)の投稿より、等身大モンタージュ(レプリカ)。「本物の河童が発見され次第、交換します」とのこと ところで「遠野伝承園」には、カッパに関するお土産グッズも販売されている。 一番人気は、「はむかっぱ」だそう。 「遠野 伝承園」(@tono_densyoen)の投稿より 「はむかっぱ」とは、ハムスターとかっぱを組み合わせたキャラクターグッズ。緑色のハムスターが甲羅を背負い、キュウリを持っている。非常にキュートである。 遠野に行ったら、カッパは釣れなくても、「はむかっぱ」は忘れずにゲットしておきたい。