「家出中、見知らぬ小柄な老人に『ついてきなさい』と言われた高校生の私。そのまま連れて行かれた先は...」(50代男性)
「ついてきなさい」と言われて
そのおじいさんは私を優しい目でじっと見つめ、こう言いました。
「ついてきなさい」
私は藁にもすがる思いで、おじいさんとバスに乗り込みました。
私が連れていかれたのは、農家風の母屋と離れのある民家でした。
おじいさんが離れの2階を指差し「荷物を置いて来なさい」と言います。
殺風景だが、布団がある。ご飯も持ってきてくれる。風呂も。
その家にはおじいさん夫婦、娘さん夫婦、その子供たちという大家族が暮らしていて、彼らは私に話しかけることもあったけれど、だれも「どこから来た?」「どうした?」といった質問は一切してきません。不思議でした。
とにかくその家族達は、暖かい家族をあまり知らない私にとって居心地のいいものでした。