「自閉症の5歳息子と大荷物を抱えて特急電車に乗った私。駅で降りたところで、若い車掌が...」(愛知県・50代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:みれいさん(愛知県・50代女性)
その日、みれいさんは体調が悪い中、遠出をしなければならなかった。
しかし、帰りの電車の中で限界を迎えてしまって......。
<みれいさんの体験談>
2年前、私は体調不良でほぼ毎日寝込んでいて、最低限の家事をこなすのにも精一杯の状況でした。
しかしその日は5歳になる自閉症の子供を連れて隣県の病院に行く必要があり、ふらふらする身体で向かうことに。
行きは知人が送ってもらい、帰りは電車に乗って戻ることにしました。
フラフラの体で電車を降りたら...
帰りの特急電車で本当に限界がきて、しんどくて、顔にも出てしまうくらいでした。
しかし途中、田舎の無人駅で乗り換えがあって、重い荷物と自閉症の子供をかかえて高い階段の上り下りしなければなりません。
この身体でどうやってあの階段を上り下りしたらいいのか......。でも、それでもやらねばならぬ。そう思っていたら、乗っていた特急の若い車掌さんに声をかけられたのです。
「お母さん大丈夫ですか? とてもお辛そうですが、この先の階段は急で高いです。お子さんとこの荷物を抱えて大丈夫ですか?」
私は迷惑を掛けたくなくて、「なんとか頑張ります」と弱々しく答えたのですが、「ちょっと待っててください」と居なくなり、その後すぐ帰ってきてこう言うのです。
「運転士に事情を説明して許可を貰いました。
この駅での停車時間は、約1分。僕がこの荷物を階段の上まで置いてきます。そのあとゆっくり、お子さんの手を引いて来てください」
「運転手もオッケーだしてくれたので」
「えーっ、そんな、ご迷惑をお掛けして申し訳ないです」と、言うと「運転士もオッケーだしてくれたので」。
そして猛ダッシュで荷物を持って階段の上に置いてきて、車掌さんが電車に戻るとすぐに汽笛を鳴らして出発。私と子供は、階段の途中から精一杯のお辞儀をして手を振りました。
その後も、親切な出張帰りの会社員の方が声を掛けてくれて、「ホームと電車の隙間がかなり開いてる駅だから、危険なのでその荷物は運んであげるから。子供さんが落ちないように気をつけて乗って」と、手を貸してくれました。
その方とは降りる駅も一緒で、駅ではお迎えにいらっしゃっていたお連れ合いと一緒に、私の車が置いてあるところまで送ってくださったのでした。
信じられないほどの親切を受けて、お礼は言ったものの、それでもそれ以上のことをしてくださった方々のことは、今でも忘れることはありません。
何かお返しがしたいと思いながら、その後も長く寝込んでしまったりもして、そのまま月日が流れてしまいました。
お名前やお電話番号などちゃんときけず、また私もその後引越しをしたので、もうお会いすることもないのかなと思うものの、それがなんだか切なく、この場をお借りしてお礼を伝えたいと思います。
2年前の高松発徳島行きでした。池谷駅での車掌さん、運転士さんに心から感謝しています。本当にありがとうございました。
そして池谷駅から鳴門駅から高速乗り場まで送ってくださった、鳴門在住のご家族の皆様。親切にして頂いたこと忘れていません。本当にありがとうございました。心から感謝しています。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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