リニューアルした「スガキヤ」カップ麺2種をマニアが食べ比べ オススメ〝ちょい足し〟アレンジも教えます
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百四十回 寿がきや食品「スガキヤラーメン」と「スガキヤ ピリ辛ネギラーメン」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百四十回目となる今回は、名古屋のソウルフード「スガキヤラーメン」を再現したカップ麺、「スガキヤラーメン」と「スガキヤ ピリ辛ネギラーメン」をレビューします。
名古屋人が愛する「スガキヤラーメン」を手軽にカップ麺で楽しめる商品で、どちらも最近リニューアル発売されました。
名古屋めし「スガキヤ」のカップ麺
名古屋では、東京とも大阪とも違う独自の食文化が形成されています。
きしめんや味噌煮込みうどん、手羽先唐揚げ、ひつまぶし、さらには台湾ラーメン、鉄板ナポリタンなどなど、「名古屋めし」と呼ばれる名物料理の数々が存在していることが、その証拠でしょう。
「スガキヤ」のラーメンも、古くから名古屋で愛される「名古屋めし」のひとつです。
豚骨スープに魚介を効かせた「和風とんこつ」を特徴とし、何十年も続く定番の味として定着しています。
昨今は「中華そばとみ田」をはじめとする豚骨魚介のラーメンが人気ですが、「スガキヤ」の和風とんこつは、名古屋版魚介豚骨とも言えるかもしれません。
「スガキヤ」の味を再現したカップ麺も定番商品で、「スガキヤ」の系列会社である寿がきや食品が製造販売。
寿がきや食品は他に「味噌煮込うどん」や「辛辛魚」といった定番商品も手掛けており、多くの人にとっておなじみのメーカーのひとつではないでしょうか。
今回「スガキヤラーメン」とともにレビューする「スガキヤ ピリ辛ネギラーメン」は、以前お店で人気を博したメニューで、カップ麺としても何年も販売されています。
「スガキヤラーメン」と「スガキヤ ピリ辛ネギラーメン」を食べ比べ、名古屋の定番の味に触れてみたいと思います。
「スガキヤラーメン」と「スガキヤ ピリ辛ネギラーメン」の内容物
「スガキヤラーメン」と「スガキヤ ピリ辛ネギラーメン」どちらも別添袋は3つ。
「液体スープ」と「かやく」はどちらもにも入っていますが、共通の袋ではありません。
それ以外では前者が「後入れねぎ入かくし味」、後者が「後入れかやく入スープ」が入っており、「かくし味」と「スープ」の違いがありました。
両者とも湯戻し前にいれるのは「かやく」1袋のみ。
「スガキヤラーメン」はチャーシューとメンマ、「ピリ辛ネギラーメン」はチャーシューのみが入っていました。
麺は両者とも同じもののようです。
お店の「ラーメン」を再現!「スガキヤラーメン」
まずは「スガキヤラーメン」。
「スガキヤ」の基本メニューである「ラーメン」が再現されています。
もちろん名古屋の大定番商品ですが、全国的にも比較的店頭に並ぶことの多い商品ではないでしょうか。
ちなみにお店の「ラーメン」は430円(税込)で、この物価上昇のご時勢の中でかなり安価。カップ麺の定価295円(税込)とそれほど大きく違いません。
この価格設定だとカップ麺のハードルが少し上がってしまいますね。
スープはクセのないまったり濃厚豚骨で、ほんのり魚介の風味を効かせることで和風味に仕上がっています。人を選ばないやさしい味です。
魚介風味で輪郭をハッキリさせることで、食べやすい味になっていました。
さすがスガキヤ公式の再現商品だけあって、スープの再現性はかなり高く、お店とそれほど遜色はないように思います。
「かくし味」の正体は?
麺は中太で緩やかに縮れのついたノンフライ麺。
お店の麺に比べると麺密度が多少低い印象ですが、見た目の形状やソフトな食感は近いものがあり、とろみのついたスープとよく絡みます。
麺とスープに一体感がありました。
具はチャーシュー、メンマ、ネギで、お店の「ラーメン」と同じ。
お店のラーメンも具はシンプルなのですが、カップ麺はさらに品質や量で見劣りしており、価格を考えるとあまり充実しているとは言えませんでした。
別添袋の「ネギ入かくし味」の「かくし味」の正体が気になっていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
正体は魚粉です。
豚骨主体の液体スープにも魚介味がついており、液体スープのみで十分成立してはいるのですが、魚粉を加えることで魚介風味がより立体的になり、臨場感が増す効果が感じられました。
人気の限定味を再現!「スガキヤ ピリ辛ネギラーメン」
続いては、「スガキヤ ピリ辛ネギラーメン」。過去にお店で供されていた人気メニューがカップ麺で再現されています。
「スガキヤラーメン」のやさしい味では刺激が少し物足りない場合に良さそうですが、果たして......?
スープは「和風とんこつ」味をベースに、ラー油を効かせてピリ辛で香ばしく仕上げています。
魚介よりもラー油の方が目立っており、ラー油と濃厚豚骨の相性も抜群です。
ラー油によって少しだけ辛味があるため、やさしい味でありながらも「スガキヤラーメン」よりは刺激があり、ベースがおとなしい味なのでラー油の香ばしさが際立っていました。
ピリ辛といってもかなり低刺激なので、辛いものが極端に苦手でなければこちらも多くの人が楽しめそうなスープです。
「後入れ」で賑やかに
麺は中太で縮れのついたノンフライ麺で、「スガキヤラーメン」と同じものが使われており麺量も同じ。
主張がおとなしく、ラー油の香ばしい風味を引き立てていました。
別添の「後入れかやく入スープ」には、細切りネギ、焦がしネギ、糸唐辛子が入っていてだいぶ賑やか。
こちらは「スガキヤラーメン」のように「隠し味」ではなく「スープ」。
というのも、魚粉の他に昆布だしも入っているからのようでした。
「スガキヤラーメン」に比べると多少弱い魚介を昆布だしの旨みで補っていました。
カップ麺ならではのアレンジも
「名古屋めし」といえば濃い味のものが多いイメージがありますが、今回の「スガキヤ」カップ麺2品はどちらもやさしい味で、オアシスのような存在でした。
「名古屋めし」はパンチのある台湾ラーメンや台湾まぜそばと、やさしい味の「スガキヤ」をご当地麺として併せ持っており、懐の深さを感じます。
以前は東京などにも「スガキヤ」のお店は多くありましたが、現在は大部分の店舗が名古屋を中心とする中部地区に集中しており、それ以外の地域で食べるのは難しくなっています。
お店のラーメンがこのご時勢にはありがたい安さなのに対してカップ麺は決して安価ではありませんが、特にスープの再現性は高く、全国どこでも味わえる「名古屋めし」としてありがたい存在ではないでしょうか。
カップ麺ではお店で食べるのとは違い自分流にアレンジも可能なので、「スガキヤラーメン」には魚粉を、「ピリ辛ネギラーメン」にはラー油を足して、やさしい味から脱却させてみても面白いと思います。
もとの味が十分おいしいので、後半戦に味変程度で楽しむのが良さそう。
特にラー油足しは印象が激変するので、ぜひオススメしたいです。