「中国で亡き夫の好物を買ったけど、現地ガイドに言われて泣く泣く破棄。帰りの飛行機でも...」(福岡県・60代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Mさん(福岡県・60代女性)
Mさんはあるとき、ガンで亡くなった夫との思い出のツアーに一人で参加した。
そこで、夫の好物だったビールを購入し、日本へ持ち帰ろうとしたのだが......。
<Mさんの体験談>
10年以上前の2月。高校教員だった55歳の夫をガンで亡くして心が沈んでいた時、夫とよく旅をした中国ツアーに一人で参加しました。
広州周辺を廻る旅で、何か仏壇にお土産をと思い、燕京ビールを2缶購入してトランクに収めたのですが、中国の現地ガイドさんに、缶類は持って帰れませんと言われ泣く泣く捨てました。
帰りの飛行機でも燕京ビールに出会ったが...
夫の大好きな燕京ビールをお供えできると意気揚々としていたのですが、すっかり気持ちがふさがりました。
そんな中、広州から福岡に帰国する中国の航空会社の飛行機の機内で、燕京ビールを頼めることを知りました。
私は、回ってきた日本人のCAさんに、「燕京ビールの缶を開けないで1缶下さい」とお願いしてみました。
しかし、規則で機内での提供は缶を開けることになっていると、優しく説明され、やむなく断念。「やっぱりだめなのか、諦めよう」と自分を納得させていました。
しばらくすると、そのCAさんが私の席の隣にきて、「ご要望にお応えできず申し訳ありません、どうしてご所望されたのですか」と尋ねられました。
「亡くなった主人が中国に来ると、いつも燕京ビールを飲んで満足していたもので、仏壇にと思って......すみませんでした」と私は答えました。
すると、福岡に到着し機から離れる直前に、茶色い紙袋を渡されたのです。こっそりと......。
紙袋の中身は
中を見ましたら、燕京ビールが2缶、プラスチックのコップ、機内食用のパンが入っていました。
思わず大粒の涙がこぼれて、お礼の言葉も言えず、只々頭を下げていました。
今までにこんなにうれしかったことはありませんでした。
名札をちらっと見て、苗字だけを頭に刻み、航空会社の福岡支店にお礼の手紙を送りました。
うろ覚えだったためご本人に渡るのに時間を要しましたが、思わぬご返事を頂きました。
祖父を亡くしたばかりでお気持ちが分かる、と......。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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