「昭和の家の窓ガラス」をノスタルジックな照明器具に かけがえのない「思い出」ごと変身させるステンドグラス作家に注目
昭和ガラスには「想い出」がある
「昭和のガラスがこんなに素敵な照明に リメイクができる、ということを皆さんに知っていただきたくて投稿しました」
そう語るのは、アカウント「ステンドグラス モワノ stainedglass moineau」で投稿を行うステンドグラス作家・小林亜希子さん。
お客さんの家の建具にはまっていた想い出の昭和の窓ガラスや、自らコレクションした昭和ガラスから、ステンドグラスのランプを作っているという。
ステンドグラスの制作は25年ほど趣味として続けていたが、昭和のレトロガラスを使い始めたのは約5年前。プロの作家になってからだった。
小林さんがステンドグラス作家としての活動を始めたのは、19年11月。長野県下諏訪のしごと創生拠点施設「ホシスメバ」に工房を構えた。
そこで「昭和ガラス」(昭和時代に製造された建材用板ガラス)に出会い、「そうだ、このガラスたちでランプを作ろう!」と決意したという。
昭和ガラスには、柄の豊富さ、モチーフの面白さ、繊細さ、はかなさ、優しさがある。ほとんどのガラスには色がなく、半透明もしくは透明なので、どんな空間にも馴染みやすい、調和してくれると考えた。
そして、もっと素敵なのは、ひとつひとつの昭和ガラスを取り巻く「想い出」があることだという。
ガラスのオーナーと直接お話ができる機会も増え、その人にとってのかけがえのない大切なエピソードを聞かせてもらいながら、思い出のシーンを頭の中で想像することもある。
「工房に戻り、ガラス1枚1枚を洗浄し、オーナーさんの名前をラベリングして工房の棚に収めていくのだが、その行為はまるで想い出をストックしているかのようです」と、小林さんは語る。
「私にとってステンドグラスは『生涯の友』というか、もう生活をする一部の中に組み込まれているような存在ですね」(小林亜希子さん)