ラーメンなのにステーキっぽい! 鶏ガラ・豚骨とは違う「鳥取牛骨ラーメン」の魅力
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百三十回 寿がきや食品「銀座香味徳監修 鳥取ゴールド牛骨ラーメン」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百三十回目の今回は、寿がきや食品のカップ麺、「銀座香味徳監修 鳥取ゴールド牛骨ラーメン」をレビューします。
東京・銀座にある鳥取牛骨ラーメンの人気店、「香味徳 銀座店」監修のカップ麺です。
関わってる県が多すぎる件
「鳥取牛骨ラーメン」は、主に鳥取県中西部で食べられているご当地ラーメン。
牛骨のだしを使用したスープが特徴で、戦後満州から引き上げてきた人が現地の味を伝えたことが始まりとされています。
牛骨のラーメンは全国でも珍しい存在です。
今回のカップ麺は、東京・銀座にある「香味徳 銀座店」の看板メニューを再現。
「香味徳」の本店は鳥取にあり、1949年創業の老舗。牛骨ラーメンを70年以上作り続けています。
公式サイトによると銀座店ではそんな鳥取の味の良い部分はそのままに、東京向けの今の味にアレンジした牛骨ラーメンを提供。看板メニューの「香味徳(元祖鳥取牛骨ラーメン)」のことを、鳥取ゴールドと呼んでいます。
東京における鳥取牛骨ラーメンのアンテナショップ的な役割を担っており、牛骨ラーメンの知名度向上に貢献しています。
そして今回のカップ麺は、鳥取のご当地ラーメンを供する東京・銀座の鳥取牛骨ラーメン店監修で、名古屋色の強い寿がきや食品が製造販売し、実際には群馬の製造工場で生産されているという複雑な商品となっています。
「銀座香味徳監修 鳥取ゴールド牛骨ラーメン」の内容物
「銀座香味徳監修 鳥取ゴールド牛骨ラーメン」の内容物は、麺と「液体ソース」「かやく」「あとのおせかやく」の3つの別添袋。
麺量は65グラムで標準的なボリュームです。
先入れの「かやく」の袋を麺の上に開けた状態。
チャーシューともやしが入っていました。
「香味徳」の「鳥取牛骨ラーメン」ではもやしが特徴的な具になっているようです。
こってりな香りとあっさりな味のギャップがすごい
写真ではわかりませんが、立ち上る湯気から牛が強く香ります。
牛特有のこってりした香りは、ラーメンなのに焼肉やステーキを思わせるものがあり、「あとのせかやく」の黒胡椒と相まって「ペッパーランチ」の香りに似ていると思いました。
スープは牛骨だしベースの薄口醤油味で、牛骨に加えてスープ表面の牛脂、さらにはスープにビーフブイヨンも入っており、牛の風味と甘みが強く押し出されています。
ラーメンのスープといえば長年、鶏ガラか豚骨と脳に刷り込まれているため、食べ始めはなかなかこの味をラーメンのスープだと認識できませんでした。
だんだん味に慣れてくると、今度は牛のまったり濃厚な風味にもかかわらず、味はずいぶんとあっさりしていることに驚かされます。
昔ながらの鶏ガラ醤油ラーメンのスープくらいあっさりしており、長年親しまれてきた牛骨ラーメンの歴史を感じさせるものがありました。
牛のこってりな香りとあっさり味のギャップも魅力のひとつかもしれませんね。
ネギと黒胡椒で味変
麺は、中細で縮れのついたノンフライ麺。
揚げた風味が香る油揚げ麺と違い、ノンフライ麺の風味は主張が穏やかなので、今回のようなあっさりで繊細なスープによく合います。
歯切れが良いしっとりした低加水麺食感で、小麦の自然な甘みが感じられ、牛だしの甘みと共鳴してスープの味に深みを加えていました。
ただ、お店の麺を再現したというよりは、寿がきや食品の商品でよく見るノンフライ麺で、普段から寿がきや食品のカップ麺を食べ慣れていると、いつもの麺であまり新鮮味がないかもしれません。
「かやく」として店の特徴的な具であるもやしが少ないもののきちんと入っています。
チャーシューはハムのような食感。あまり肉感はありません。
「あとのせかやく」袋にはネギと黒胡椒が入っていました。
ネギの風味や胡椒のパンチが鋭く、牛の風味とあっさり味が特徴なスープに入れることで味が結構大きく変化します。
お店では牛の風味を引き出すために黒胡椒があらかじめ入っていますが、カップ麺ではまずはスープだけで味わってから「あとのせかやく」を入れて味変する方が楽しめそうです。
カップ麺で鳥取名物を堪能
本場の鳥取と「香味徳 銀座店」がある東京以外ではなかなかお目にかかれない鳥取牛骨ラーメンを、お店と同じとはいかなくてもカップ麺で手軽に味わえます。
普段、ラーメンのスープとしては鶏ガラや豚骨を食べ慣れているので、牛骨のスープを味わうとラーメンではないものを食べている感覚になって面白いです。
カップ麺で鳥取の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。