「左手に幼い息子、右手に大きなキャリーケース。都内の駅の階段を必死に下りる私に、見知らぬおじさんが...」(岩手県・40代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Sさん(岩手県・40代女性)
今は大学で福祉を学ぶSさんの息子が、まだ幼かった15年前。
検査入院のために東京に行くことになり、親子二人、大きな荷物と共に駅の階段を下りていると......。
<Sさんの体験談>
15年ほど前、保育園の年長組だった息子に身体の発達に遅れがみられたため、遠く離れた東京の病院に検査入院することになりました。
私は地方から一人で息子を東京に連れて行きました。
右手に持ってた荷物が突然...
ちょうどその頃、実父が末期癌で入院しており、いつ急変するかもわからない状況でした。息子のことに加え、実父のことも気がかりで、ズシッと心に重みを抱えての上京。そんな私の心がふわっと軽くなる出来事が起きたのです。
駅名は忘れましたが、大きな駅でのこと。左腕に息子を抱え、右手に1週間分の荷物が入った大きなキャリーケースを持ち、必死で駅の階段を下りていました。今思えばエレベーターを探せば良かったのに......と思いますが、そんな余裕はありませんでした。
すると、途中でふっと右手が軽くなったのです。見ると、知らないおじさんが私の荷物を持ってくれていました。そして、私の歩調に合わせて何も言わずに一緒に階段を下りてくれたのです。
階段を下りてからお礼を言うとニコッと笑顔で手を振って去って行かれました。まさに絵に描いたような紳士でした。張り詰めていた私の心は、このおじさんの優しさによって一気に軽くなったのです。しばらく涙が止まりませんでした。あの時は本当にありがとうございました。
今、息子は20歳を過ぎ、身体に軽い障害がありますが、明るくて優しい青年になりました。「人の役に立ちたい!」と大学で福祉を勉強し頑張ってます。
あの時のおじさんの優しさが、息子の中に受け継がれているかのようです。おじさんが読んでくれたらいいなあと思い、投稿しました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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