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「がれき処理 or 文化財レスキュー」の二択でいいのか? 震災の記録を残し続ける博物館長が語る「被災物」の価値

藤本 仁

藤本 仁

2024.03.10 08:00
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壊れて使えない「被災物」でも...

山内さんによると、「被災物」とは文字通り、「被災したモノ」のことだ。その中には、誰かが人生をかけて大切にしてきたモノもある。

例えば、色んな思いを込めて奏でた楽器。例えば、一緒に旅をした車やバイク。例えば、美しい景色を共に見てきたカメラ。たとえ壊れて、使えなくなっていたとしても、持ち主にとってはかけがえのない、意味のある存在だ。

長年大事にしていたギターなど(画像はイメージ)
長年大事にしていたギターなど(画像はイメージ)

しかし、他の人にとってはそうではなく、文化財のような価値はない。がれき撤去の際には、まとめてゴミとして捨てられてしまう。そんな現実に、山内さんは疑問を感じている。

「文化財とゴミという分け方はあんまりじゃないか、ということです」(山内さん)

それは山内さん自身の体験から生まれた思いだった。

2011年3月、山内さんの住んでいた家は、東日本大震災の津波で押し流された。鉄骨4階建てのビルで、発見されたのは本来の位置から200メートル離れた場所だった。

「心の中に埋めようのない穴が開いてしまう」
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