窓口で「社長呼んで」→3~4分で本人登場 秋田ローカル線で「VIP気分」味わえそうな謎システム導入
「社長呼んで」
もしあなたが誰かにそう言われたら、きっと身構えるはずだ。いま目の前に居るのは誰だ? 社長の知り合いか? それとも、めちゃくちゃ怒っている人か......?
だって社長って、なかなか会えるものではない。自分の勤めている会社の社長とでさえ、ほとんど話したことがない、なんて人も多いはずだ。呼び出すなんて、よっぽどのことがないと......。
だが秋田県には、かなり気軽に呼び出してもいい社長がいるらしい。
観光案内窓口に「社長呼んで」とお伝えください。
吉田社長が3~4分で来る...かも?
社長鉄印も書きます。
そんなことが書かれたボードの写真は2024年1月26日、秋田県内を走る「スマイルレール秋田内陸線」の公式Xが投稿したもの。併せてポストでは、
「社長とお話したい方、駅観光案内窓口から呼び出してみてください
※社長が出れない時は誰かがランダムで出てきます」
と呟いている。
社長を、そんな気軽に呼び出していいの? ていうか、来るまで早すぎない!?
「お出かけ中」のときは出てこないらしいが、その場合は「代理で課長や係長のあいさつ」となるらしい。いやいや、課長や係長によるあいさつだって、そんな気軽に受けちゃっていいものなの?
とにかく気さくな社長や管理職たちがいそうなこと以外、何もかもが謎なシステム。ツッコミどころが多すぎる。
いったいどうしてこんなことをはじめたのか、そしてこんな気軽に呼び出されちゃうことに対し、吉田社長はどんな気持ちなのか。
Jタウンネット記者は2月2日、秋田内陸縦貫鉄道(秋田県北秋田市)に話を聞いた。
お客様とのコミュニケーションをとるために
同社によると、この取り組みは、以前Jタウンネットでも「 『押すと館長が出てくるボタン』 水族館の謎装置が話題に→なぜ設置?館長本人に聞いてみた」で紹介した、「館長が出てくるボタン」を設置している「北の大地の水族館」(北海道北見市)をリスペクトしたもの。
同社の社員がX(ツイッター)上で「館長が出てくるボタン」についてのポストを見かけ、吉田裕幸社長に「ここの水族館さん面白いことやってますよ」と伝えたことが、実施のきっかけになった。社長が「いい取り組みだね、うちでもお客様とのコミュニケーションをとるためにやってみよう」と答えたのだ。
そして、2024年1月24日から阿仁合(あにあい)駅に「社長呼び出しシステム」が設置された。
吉田社長は「このボードを通して阿仁合駅に足を運んでいただいた様々なお客様との交流ができることを期待している」とのこと。
とはいえ、実際社長を呼びだしたとして、何を話せばいいんだ......?
そんな記者の質問に、同社はこう答えた。
「旅や鉄道のお話、秋田内陸線についてのお話などなんでも大丈夫です!
社長鉄印も販売しているので社長が目の前で文字・日付を入れることも可能です」
鉄印とは、全国の第三セクター鉄道会社が実施している各社オリジナルの印で、「鉄印帳」に集めるというもの。社長直々に押してもらえるなんて、もはやサイン会だ。
だが、この社長呼び出しシステム、取材時点では利用者がまだ現れていない。
同社は今後の意気込みについて、
「このボードを通じて、社長や社員とお話しすることでより内陸線を身近に感じてくれたら嬉しいです。無茶ぶりは応えられないかも知れませんが...(笑)」
とコメントしている。