「住みたい田舎」で人気の愛媛県・西条市は、巣立つ若者も応援中! 地元出身シンガーが歌う「ふるさとの想い」がエモすぎる
2024年1月7日。愛媛県西条市で、ある楽曲のお披露目が行われた。
「君のまち」と名付けられたその曲は、地元出身のシンガーソングライター・ちゃんゆ胃さんが、ふるさとのために作った"応援歌"だ。
大丈夫 大丈夫 君なら君だからできるどんなことも
愛に包まれたこのまちは君の味方さ
そんな言葉を最初に受け取ったのは、20年前に生まれた若者たち。
西条市への愛があふれるこの新曲は「令和6年西条市二十歳の集い」で発表されたのだ。
西条市で育った若い人たちに向けて、「みんなのチャレンジを応援する」というメッセージを伝えられる歌を作ってほしい――。
「君のまち」は、西条市役所からのそんな依頼を受けて作られた楽曲。制作にあたって市職員から話を聞いた彼女は、「皆さんの夢を応援したいっていう気持ちが強く伝わってきた」と語る。
そんな西条市の「気持ち」がこもった歌詞は、ちゃんゆ胃さん自身の西条での思い出から生まれた。
Jタウンネット記者は西条で、「君のまち」の根底を流れる、ちゃんゆ胃さんの思い出を辿る旅に、同行した。
夢に見るくらい大好きだった西条の小学校
どうしようも無くなって前を向けなくなったら
抱きしめるから無理はしないで
温かいご飯に温かい笑顔でいつでも待ってるよ
西条には「帰れる場所」がある。彼女が歌にそんな思いを込められたのは、小学生時代の経験があるからだ。
西条市立神拝小学校。ちゃんゆ胃さんは小学校3年生で松山に引っ越すまで、この学校に通っていたという。
ちゃんゆ胃さん:西条を離れるときに最後に過ごしていた場所なので、もう思い入れしかないですね。
ちゃんゆ胃さん:「西条が大好き」って思う理由の1つにこの学校での思い出があって、本当に転校するのが嫌だった。
松山に引っ越した後も(神拝小の)友達との学校生活を夢に見るくらい大好きで。今でも当時のことは鮮明に覚えてます。
ちゃんゆ胃さんが神拝小学校を去る日、クラスで「お別れ会」が開かれた。その会を開いてくれた人物と再会できた。
岡田加代美先生。ちゃんゆ胃さんが「恩師」と慕い、「どうしても会いたい」と語った人物だ。
2人が直接会うのは、ちゃんゆ胃さんが転校して以来。実に12年ぶりの再会を喜びながらも、大きく成長し「アーティスト」となった教え子を前に、岡田先生はどこか緊張気味。
しかしそれも、ちゃんゆ胃さんがある"アイテム"を取り出すまでだった。
ちゃんゆ胃さん:覚えてますか?
岡田先生:あ~! これ! なんか蘇ってきた!
それは、ちゃんゆ胃さんの「お別れ会」の写真などをまとめた、一冊のミニアルバムだった。岡田先生がこのアルバムを作って渡してくれたことが「本当に嬉しかった」と、ちゃんゆ胃さんは振り返る。
アルバムに収められた写真を眺めるうちに、岡田先生の中にも当時の思い出が蘇る。
岡田先生:転校すると聞いたときはショックでしたね。とにかく元気な子、明るい子という印象が強かった。あと、色んなことで1番な子だったよね。
ちゃんゆ胃さん:なんでもできるタイプの子だったんで(笑)
岡田先生:そうそう(笑)。だから、ミニアルバムにも『松山でも一番にな~れ!』というメッセージを書いたんです。
アルバムを挟んで思い出話に花を咲かせる2人は、「あの頃」に戻ったかのように笑いあっていた。
「若い人たちのために」と依頼され、幼き日の思い出も詰め込んだ「君のまち」。ちゃんゆ胃さんは、自分の「後輩」を含め西条の子供たちにも親しんでもらえるように、「歌詞は小学生が聞いてもわかるようなものにしたかった」と語る。
ちゃんゆ胃さん:今は分からなくても、中学・高校と成長してこの街を離れるってなった時に、何かこう、背中を押せたらなっていう思いがあるので、そういう部分は伝わってほしい。でもまあ、今は思う存分毎日を楽しんで生活してほしいなと思います(照笑)
「変わらないな」と感じられる場所
「『応援ソングを作ろう』ってなった時に、ここも思い出の地として浮かびました」――ちゃんゆ胃さんがそう言って案内してくれたのは、西条市総合文化会館近くにある「猪谷勉強堂」だ。
ここは、ちゃんゆ胃さんが西条市に住んでいた時、数か月に一度、家族と一緒に訪れていた「たこ焼き屋」。
当時、ちゃんゆ胃さんの父は新居浜市で働いており、彼が数か月に一度の会社の飲み会に参加する時は家族で車に乗って送迎していた。
ちゃんゆ胃さん:その帰りにいつも乗り合わせる父の職場のおじさんが、ここでアイスとかたこ焼きとかをよく買ってくれて。だから父の飲み会がある日は、私にとって『勉強堂のたこ焼きを家族みんなで食べられる日』だったんです。
店主の猪谷達一さんも、子供時代のちゃんゆ胃さんを覚えているそう。今でも彼女は、西条に戻ってきたらこの店に立ち寄っているという。
ちゃんゆ胃さん:空間があまりにも懐かしすぎるというか、初めて来た人でもノスタルジーを感じるんじゃないかなというお店。そういう雰囲気も含めて、『帰って来たな』『変わらないな』とすごく感じる場所。
いつ行っても「あの頃」と変わらないまま、帰りを待ってくれている、迎えてくれる場所がある――。
ちゃんゆ胃さんが西条というまちに抱いているイメージ、応援歌で伝えたかったこと。どこか懐かしい香りを漂わせる「猪谷勉強堂」は、それを具現化したかのような存在だった。
西条には「帰れる場所」がいっぱいある
西条市役所からほど近い場所にあるクレープ店「ラブクレープ」も、ちゃんゆ胃さんを温かく迎え入れてくれる場所のひとつだ。
アーティスト活動を始めた後に市役所職員にオススメされて出会って以来、仕事でもプライベートでも、西条を訪れる際に必ず立ち寄っているという。
そんなちゃんゆ胃さんのことを店主の高橋裕司さんも覚えてくれていて、来るたびに声をかけてくれるそうだ。
ちゃんゆ胃さん:このお店に限らず、西条市ってそういう場所がいっぱいあって。一度ご縁が繋がったらそれがずっと途切れないまま、みたいな。そういうあったかさが個人的にとても心地いいです。
西条の一番の魅力は「人の温かさ」
やっぱり、『人があったかいな』っていうのが1番ですよね
「西条市の魅力は何か」と記者が尋ねると、ちゃんゆ胃さんはそう答えた。
例えば、シンガーソングライターとしての活動を全力で応援してくれること。
松山市でライブがある時にわざわざ西条から市役所の職員が見に来てくれたり、ちゃんゆ胃さんが「LOVE SAIJO応援シンガー」に就任した際には市長自ら「ちゃんゆ胃を紅白歌合戦に出す」とプレゼンしたりと、とにかく「応援のパワーがすごすぎる」というのだ。
ちゃんゆ胃さん:やっぱりその『愛の強さ』というか、それがメチャクチャうれしいです。「西条市がいるから」って言ったら規模がでかいですけど(笑)、なんか嫌なことがあっても、めっちゃ頑張れます。
だから、彼女にとって西条市は「いつでも帰って来られる場所」なのだという。
ちゃんゆ胃さん:一度この町を離れても、『帰って来たいな』と思った時に受け入れてくれる人が沢山いるところだなと思ってて。だから本当に、いつでも帰ってこられる1つの居場所みたいな存在です。
西条市内には、大学がない。そのため、西条で生まれ育った若者たちの多くは、一度は慣れ親しんだ地元を離れる。若者たちが外に飛び出していってしまうのは、まちとしては寂しいものがあるに違いない。
ちゃんゆ胃さん:でも、市役所の方から「そういう外に出ていく人たちを応援したい」っていう言葉が出る。それが、個人的には衝撃というか、「すごいことだな」と思って。「外に出ていっても、いつか帰って来られるように私たちはずっと待ってるから」っていう西条のスタンスは、すごく、いいなと。
大丈夫 大丈夫 君なら君だからできるどんなことも
愛に包まれたこのまちは ずっと君の味方さ
西条市という「いつでも帰って来られる場所」があるから、失敗を恐れずどんどん挑戦したいことに挑戦していってほしい。その挑戦を、西条の人たちは絶対に応援してくれるはず。
ちゃんゆ胃さんは「君のまち」を通して、これから市外へ旅立っていく人たちにそんなメッセージを伝えたいという。
ちゃんゆ胃さん:不安なこともあると思うけど、「帰って来られる場所がある」ということを誇りに思って、自信をもって羽ばたいていってほしい。だから今回の応援ソングの歌詞にも、そういった思いをどストレートに詰め込みました。
そんなちゃんゆ胃さん自身にも、いま挑戦したい「夢」がある。
大学に通いながらシンガーソングライターとして活動していた彼女も、2024年に卒業。その後は、音楽活動の拠点を東京に移す予定。そしていつか「西条市出身のちゃんゆ胃」という名前を全国に大きく広められるようなアーティストになりたい、と考えている。
ちゃんゆ胃さん:でも、やっぱりいつかは西条に戻って来たいと思ってて。大学が保育系なので、最終的には西条で保育の仕事をしたいな、と思ってます。
"チャレンジを応援するまち"西条市は、応援ソングを通して西条にエールを送るちゃんゆ胃さん自身の夢をもまた全力で応援しながら、その帰りをいつでも、いつまでも待っていてくれることだろう。
そしてもちろん、西条市が背中を押すのは外に飛び出していく人たちだけではない。外から訪れる全ての人の「チャレンジ」も、西条は全力でサポートしてくれる。
もし今、夢や目標にあと一歩が踏み出せないでいる人は、まずは西条市に行くことにチャレンジしてみてはどうだろう。愛に包まれたこのまちは、あなたの味方だ。
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<企画編集・Jタウンネット>