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人口減少に悩む街の未来を切り拓け! 合言葉は「LOVE SAIJO」――愛媛県・西条市役所のヒーローたちがアツすぎる

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2023.07.24 18:30
提供元:西条市

地方には人口減少や少子高齢化に頭を悩ませている地域も多い。

瀬戸内海に面するまち・愛媛県西条市も、その一つ。だが、そんなピンチに立ち向かうためのチームがある。

「LOVE SAIJO」と書かれたシャツに身を包み、キリっとした表情で立ち並ぶその姿は、アベンジャーズ顔負けの凛々しさ! 彼らこそ「西条市シティプロモーション推進課」である。

一体、どんな活動をしているのか。さっそく話を聞いてみよう!


LOVE SAIJOとは何なのか

宇宙からの侵略に対抗するためにアベンジャーズが集められたように、西条市シティプロモーション推進課も市が抱える諸問題を解決するために結成された。

問題のひとつが、先ほども出てきた人口減少。1985年をピークに西条市の人口は減少の一途を辿っており、特に若年層の人材が極端に不足している。

継続的な市の発展のためには、人口分布がアンバランスな状態を解消しなければならない。そこで2017年、「定住人口の獲得」のために作られたのがシティプロモーション推進課だ。

彼らが取り組むのは、市内外での西条ファン――いわば、"SAIJO LOVERS"の獲得。

それまであまり上手くいっていなかったまちの認知度向上やイメージアップに力を入れることで、西条の魅力を伝えようと力を尽くしている。

「定住人口の獲得という共通の目標をクリアするため、市民の皆さんと一緒に考え作り上げたキャッチフレーズが『LOVE SAIJO~まちへの愛が未来をつくる~』なのです」

そう語るのは、西村友規課長。2023年4月に課長に就任したばかりだが、さっそく頼れるリーダーとしてチームメンバーを牽引している。いわば、西条の「新キャプテン・アメリカ」だ。

西村課長には、「LOVE SAIJO」をただの"市のキャッチフレーズ"で終わらせる気はない。市民と一緒になって地方創生に取り組む「チャレンジを応援するまち」の象徴的な存在として、様々な場面・様々な場所で目や耳にする機会をもっと増やしていきたいと考えている。

市外の人には西条市を知って、興味を持ってもらう。そして市内の人には、これまで以上に「西条愛」を深めてもらい、共に人口減少などの課題解決に立ち向かっていく。市内外を問わない人の輪──それこそが、「LOVE SAIJO」なのだ。


情報発信のチャンスが少しでもあるのなら

シティプロモーション推進課には、「シティプロモーション推進係(以下、CP係)」「広報係」「広聴係」の3つの係がある。その中で一番の古株が、CP係の係長・田邊智将さんだ。課が生まれた2017年からずっと「LOVE SAIJO」に携わっている。西村さんが「新キャプテン・アメリカ」なら、田邊さんはさしずめ「アイアンマン」といったところか。

田邊さんが率いるCP係では、主に「LOVE SAIJO」公式サイトの運営を行っている。西条市に関する様々な取り組みやイベントの情報、移住政策に関する情報などを日々発信しているPRサイトだ。

「西条市は魅力あるまちですが、シティプロモーション推進課ができるまでは外向きの情報発信が充分ではなかったのかな、と。なので、メディアやインフルエンサーなど色んな手段も使って、少しでも情報発信のチャンスがあったら飛びついていく。そんなことをしているのがCP係です」(田邊さん)

彼らの仕事は西条の中だけにとどまらない。たとえば、タブレット参加の白岡明敏さんは大阪事務所で活躍中。大学生向けのUターン移住や就職のサポート、Zoomを使ったオンラインイベント、オフラインの交流会などを通して、まちの外側から西条の魅力を届けている。

CP係には、活動の中で体験した印象的な出会いがある。


「意見箱」から生まれた出会い

西条市役所の総合案内に設置されている意見箱
西条市役所の総合案内に設置されている意見箱

西条市内には、市民からの意見を募集する意見箱が各所に設置されている。そこに寄せられた1通の手紙が、その後のシティプロモーション推進課の活動に大きな影響を与えたのだ。

市民から寄せられる様々な意見を受け付け、それらを担当の部署に共有する。また、市の政策について市民に広く発信し、意見を集める。行政と市民とを繋ぐ架け橋として動くのが、広聴係。

同係の係長・藤原弓子さんによると、2022年3月15日、「そうじのおばちゃん」を名乗る女性からこんな内容の手紙が寄せられた。

「シルバー(※)で公園の清掃をしている者です。感心した事があったので投稿させて頂きました。
月曜日にトイレそうじをしようとした所、トイレットペーパーが袋に入れて2コ置かれていました」(※シルバー人材センターからの派遣)

その袋の中には、メッセージも入っていた。その日、施設を利用していた少年野球のチームからの「本日は施設を利用させていただき、ありがとうございました」という感謝の言葉が書かれていたという。彼女は7年間清掃をしているが、こんなことがあったのは初めてだった、と綴っていた。

意見箱と「そうじのおばちゃん」からの手紙
意見箱と「そうじのおばちゃん」からの手紙

通常、市民からの意見は広聴係で確認したのちに課長に報告する。その後、関係する各課に共有するというのが基本だ。

しかし、「そうじのおばちゃん」からの手紙は、市に対しての意見でも市職員へのお礼でもないという珍しいパターンで、どの部署に持っていけばいいかわからなかった。

「けど、当時の担当者が、『せっかくこれだけのメッセージを送ってくれたんだから、そのクラブに直接この手紙を渡しに行きたい』と言ったんです」(田邊さん)

そこで、市のスポーツ健康課を通してクラブの代表者にアポイントを取り、課長と広聴係が練習中のチームを直接訪問。CP係がその様子を取材して記事を作り、翌日には「LOVE SAIJO」サイトで公開した。


「そうじのおばちゃん」を探し出せ!

その結果、記事を見た地元テレビ局から打診があり、一連のストーリーがテレビでも放送されることに。「そうじのおばちゃん」は大きな注目を集めた。

しばらくすると、今度はチームの代表者から連絡があった。「子どもたちが『そうじのおばちゃん』に会いたがっている」というのだ。

「難しいとは思うんですが、なんとか『そうじのおばちゃん』を探して、子どもたちと会う機会を作ってもらえませんか?」

そんな協力要請を受けた推進課のメンバーは、さっそく「そうじのおばちゃん」を探した。手紙には名前や住所などが書かれていたわけではない。しかし、「シルバー(人材センター)」という情報や少年野球チームがその日どの施設で練習していたのかをもとに、彼女を見つけ出した。そして本人とコンタクトを取り、会談の場をセッティングしたという。

「地元のスポーツ少年野球チームとおばちゃんとの橋渡しのようなことができて気持ちがほっこりしました」(広報係・藤原さん)

そうじのおばちゃんと野球少年たちとの絆は、多くの人に感動をもたらしただけでなく、シティプロモーション推進課のターニングポイントにもなった。

「課内の複数の係がコラボして何か企画をやれたのもこれが初めてで、その後の課の活動にとってすごく大きな意味があったと思います」(田邊さん)

その流れの中で実施されたのが、ミュージカル俳優・伊藤碧さんに、感動の再会をプレゼントするサプライズ企画。

「坊っちゃん劇場の舞台に立ちたい」――伊藤さんは子供のころからそんな夢を抱いていた。坊ちゃん劇場とは東温市のミュージカル専用劇場だ。

彼女は見事にその夢を叶え、「中学生時代の恩師に成長した姿を見せられたら」と語った。そこでシティプロモーション推進課が、その恩師を彼女のもとに連れて行ったのだ。


きっかけは1本の電話

伊藤碧さんと恩師の再会は、地元のテレビ局が取り上げるほどの感動ストーリーに。そのきっかけとなったのは、広報係にかかってきた1本の電話だった。

電話の主は、伊藤碧さんが高校時代に通っていたカフェの店長。伊藤碧さんの母からこんな相談を受けていた。

「私の娘は今、夢だった舞台女優になったのですが、中学時代にその夢を応援してくれていた先生に会ってお礼を伝えたいと言っているんです。ただ、その先生がいまどこにいるのかわからない。店長さん、なんとか探してもらえませんか?」

店長は伊藤碧さんの「恩師」が今どこにいるかを調べるために、広報係に電話をしてきたというわけだ。

「担当部署に問い合わせればすぐにわかることなので、本来なら数分で終わる話なんです。しかし、広報係の八塚くんと辻くんから『推進課で何かできるんじゃないか』と持ち掛けられました」(田邊さん)

ただ2人を繋ぐのではなく、「感動の再会」を演出したい──ということで、CP係の田邊さんと、広報係の八塚さん・辻さんの3人でチームを結成。「伊藤碧さんにサプライズで恩師と再会させよう大作戦」の計画を練ることになった。

当時の3人での「企み」の様子を再現してもらった。「悪だくみ」ならぬ「良だくみ」
当時の3人での「企み」の様子を再現してもらった。「悪だくみ」ならぬ「良だくみ」


「チャレンジを応援するまち」愛媛県西条市

広報係が毎月発行する広報紙「広報さいじょう」。西条の「人」にスポットを当てたこの広報紙の中でも特に、市内の頑張っている人を紹介する「まちびと物語」のコーナーで伊藤碧さんを取り上げる。それが計画の第一段階だった。

「まずはこのコーナーで、伊藤碧さんが頑張っている姿を紹介してあげたいと思いました。その上で、この記事を見た先生の方が伊藤碧さんに気付いて......というシナリオがいいんじゃないかと」(八塚さん)

広報紙の取材の中で伊藤碧さんから改めて「成長した姿を中学時代の先生に見せたい」というコメントを引き出した彼らは、恩師本人に事情を説明。「感動の再会」に協力してもらえることになった。もちろん、当の伊藤碧さんは、当時取材の裏でこんな計画が進んでいるなんて知る由もない。

そして、恩師をはじめとした各方面とのスケジュールを苦労して調整した末に、作戦の最終段階「再会」を決行。見事大成功を収めたのだった。

「あの再会の瞬間を見るために、まああちこち電話して、執念深くやりましたよね」(田邊さん)
「ちょっとグッときましたね。やっぱり」(八塚さん)

調べた情報をただ伝えるだけではなく、一つの「ドラマ」を作り上げてしまう。1人の市民のために市役所職員がここまで必死に動いてくれる。

彼らは、何故こんなにも頑張るのか。頑張れるのか。

その答えは、単純だ。

西条というまちを、愛しているからだ。西条というまちを、盛り上げたいからだ。

だから、シティプロモーション推進課のヒーローたちは、夢や目標に向かって頑張る皆を全力で応援する。「チャレンジを応援するまち」を全身で体現する彼らのことこそを応援したい、と思う記者だった。

もしいま、何か「チャレンジしたい夢や目標」がある人は、思い切って西条市への移住を検討してみるのはどうだろう。2023年8月5日には大阪で、8月6日には京都で、移住セミナーの開催が予定されている。詳細はこちらをクリックして、LOVE SAIJOに飛んでみてほしい。

<企画編集・Jタウンネット>

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