これも「お雑煮」…だと シンプル極めた島根・出雲雑煮は地味〜に見えて高貴な味わい
2023年11月24日、"だし"で有名な「久原本家 茅乃舎(かやのや)」が正月の定番「お雑煮」に関するイベントを開催した。
「関西風雑煮」、「鮭雑煮」(新潟県)、「博多雑煮」(福岡県)、「出雲雑煮」(島根県)、「関東風雑煮」という5地域のお雑煮を比較できる、食べ比べ会である。
すでに紹介したとおり「鮭雑煮」「博多雑煮」はメチャクチャ豪華。「正月ってこういう派手なもん食べてたいよなあ~」なんて気持ちにさせられたのだが......。
派手じゃなくても、うまい物はうまかった。これから、「出雲雑煮」の底力を皆さんに伝えたい。
これが、出雲雑煮である。Jタウンネット記者はこれを初めて見たとき、思わず「え?」と声を出してしまった。
澄んだつゆの中には白い丸餅と、緑の野菜と、黒い岩海苔しか入っていないのだ。
かつて都にも献上された最高級食材
こんなにシンプルなお雑煮、アリなのか。
何故か不安を感じつつ口に運ぶと、さわやかで心地よい香りが一瞬にして広がった。岩海苔由来のそれは大海原を想像させ、東京のビルの一室にいるとは思えないほどの解放感に包まれる。
会場の資料によると、出雲雑煮に使われているのは十六島(うっぷるい)海苔。島根半島西部の海岸に突き出した岬・十六島で獲れる希少な岩海苔だ。古くは、最高級の岩海苔として都に献上されていたんだとか。
出雲雑煮という食べ物が成り立つのは、この海苔だからこそ、なのかもしれない。
シンプルだけれども非常に豊かな、衝撃体験であった。