関東大震災からの復興へ...希望与えた「震災イチョウ」 猛火の中を生き延びた「奇跡の木」は今ここに在る
震災イチョウから伝ってきたメッセージ
8月30日、記者が千代田区文化振興課文化財係担当者に取材したところ、震災イチョウは樹齢150年と推定される。元々は、旧・文部省の構内(現在のパレスサイドビル付近)にあった。
関東大震災に襲われ、旧・文部省があった地域一帯は焼け野原に。しかし、震災イチョウは奇跡的に生き延びた。

国民公園協会・皇居外苑のウェブサイトは、震災イチョウを「震災復興希望のシンボル」として紹介。木のすぐ下に立つ看板では、その由来が説明されている。現在の看板にはないが、2019年に立て替えられる以前は、
「このイチョウは当時の人々に復興への希望を与えました」
と記されていたようだ。

打ちひしがれた人々の希望の光となったイチョウは、震災の復興計画による区画整理事業の中で切り倒されることになっていたが、当時の中央気象台長の岡田武松氏がそれを惜しみ、復興局長官の清野長太郎氏に申し入れをして現在の場所に移されることに。記者が訪れた23年8月31日13時頃にはランナーやスーツ姿の人々が震災イチョウの周りで束の間の休息をとるなど、憩いの場になっていた。

大きなイチョウが作る木陰の中で、大災害を乗り換えたその姿をじっと見つめていると、困難な状況になっても必ず立ち直れる......そんなメッセージが聞こえてくるようだ。