北海道の路上で「エゾジカの殴り合い」目撃される 何があった?行動の理由を専門家に聞く
投稿した職員「初めて見ました」
取材に応じたのは話題の動画を撮影した産業振興部商工労働観光課の職員。7月18日の17時54分、庁舎のすぐ近くの路上にエゾシカが出てきて、「こんな場所にもいるのか」と思い撮影を始めたという。
「パンチまで始めたので、大変驚きました。4月に根室振興局にやってきたばかりで、それまでも道内で働いていましたが、こんな光景は初めて見ました」(撮影した職員)
エゾジカが2本足で立ち上がり、殴り合いのは珍しいことなのか。記者は8月2日、酪農学園大学(北海道江別市)でエゾシカを中心とした狩猟鳥獣の生態などを研究している伊吾田宏正准教授(狩猟管理学研究室)に聞いた。
伊吾田准教授によると、エゾシカは高いところの枝葉を食べる時などに後ろ足で立ち上がる。「頻繁にする行動ではないが、特別珍しい行動ではありません」とのことだ。
パンチについては、「前足で叩くことは、基本的には攻撃的な行動です。メスは角がないので、このような方法で攻撃します」と説明。こちらも頻繁にする行動ではないが、特別珍しくもないそう。動画ではメスがパンチをしていたが、オスでも角が無い時期か角が成長中で柔らかい時期には、同様の行動をするという。
「映像の状況は、深刻な闘争ではなく、お互いの進路が交わりそうになったので、少し不快感を覚えて威嚇と攻撃を軽く行ったのだと推察されます」(伊吾田准教授)