「公園で野宿した後、温泉宿の足湯で体を温めていた私。スタッフに声をかけられたので宿泊客ではないと伝えると...」(大阪府・男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Oさん(大阪府・年齢不明男性)
二十数年前、Oさんは大阪から岡山まで、消防官の採用試験を受けに行った。
しかし試験前日、宿泊できるホテルがないと分かり......。
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<Oさんの体験談>
20有余年前、当時の恋人が岡山県に住んでいました。結婚したいと考えていましたが、彼女の母親が厳しく、「岡山に住むなら結婚は考えるが、大阪には嫁がせない」と反対されました。
そこで、消防士という立派な職業につき、さらにそれが岡山県の消防士であれば絶対に結婚を快諾してくれるだろうと、岡山の美作で採用試験を受けることにしたのです。
10月下旬、油断して...
試験は午前中からスタートであった為、前日には試験場の近くのホテルに泊まるなどしなければ間に合いそうにありません。観光センターに空き宿がないか確認したのですが、試験当日は岡山のサーキットで大きなレースがある日であったらしく、周辺のホテルはどこも満室でした。
やむなく試験場から少し離れた位置にある公園で前日から野宿をして試験に挑むことにしました。
10月下旬だったので、まだ暖かいだろうと、甘く見ており、ろくな準備もせずに野宿をしてしまいました。結果、日が落ちてからの冷え込みはあるし、夜中に野犬に囲まれるしで、大変な思いをしました。疲れきった体のまま「どうせ寝られないのなら」と、試験会場方面に移動を始めました。
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道中、誰でも利用可能な足湯が設置されているホテルが目に止まりました。湯郷温泉の宿のひとつだったと思います。冷え切った体を温めるために、利用させてもらうことにしました。
すると、ホテルの方が足湯の確認か何かの為にたまたま近くに来られて、話しかけてきたのです。
「どちらにお泊りなのですか?」
私は泊まってもいないのに足湯を利用していたので、非常に申し訳なく感じ、「すみません。宿泊客ではないのですが利用させてもらいました」と答えました。
試験に遅れる可能性があったため
そのあと少し会話が続き、試験を受けるために大阪からやってきて、野宿をしていたと言ったら、ホテルの方が館内の温泉の利用を勧めてくれました。
「料金なんて必要ないので、どうかホテルの温泉入っていって下さい」
ただ、そのホテルからまだ試験会場までは距離があり、温泉を利用すると遅れてしまう可能性もあるため、「お気持ちだけいただきます!ありがとうございます」と伝え、試験場に向かう事にしました。
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足湯のおかげで体が温まり、無事試験を受けることもできました。
結局、3次試験まで行ったのですが残念ながら合格には至らず。彼女とも結婚までは到達する事なく別れる事になりました。
しかし、あの時感じた人の温かさ、優しさは今でも思い出すと胸が熱くなります。
あの時優しい言葉をかけてくださった方、本当にありがとうございました!
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