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ビニール傘の処分、実は「MAXめんどくせえ」 駅や電車、オフィスビルの放置傘に企業は苦悩...「傘シェアリング」で解決目指す

井上 慧果

井上 慧果

2023.06.20 17:00
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北海道以外のすべての地域が梅雨入りし、本格的に雨の季節がやってきた。

不安定な空模様が続くこの時期は、いきなり雨が降り出す日もあって困りもの。急な雨で、折りたたみ傘もない――そんなときには仕方なくコンビニでビニール傘を買う読者も少なくないはずだ。

しかしビニール傘は結局「使い捨て」になってしまうことも。一度使ったきり傘立ての肥やしと化してしまっている場合もあるだろう。

そして、このビニール傘の処分というのは「MAXめんどくせえ」。

ビニール傘の解体を実演するマシンガンズ滝沢さん
ビニール傘の解体を実演するマシンガンズ滝沢さん

2023年6月8日、日本初の傘シェアリングサービス「アイカサ」を展開するNature Innovation Group(東京都渋谷区)が実施した記者会見で、ゴミ清掃員としても活動するお笑い芸人・滝沢秀一さん(マシンガンズ)がビニール傘の解体を実演した。

――そう、ビニール傘を捨てるというのは、ポンとゴミ捨て場に置いておけばいいというものではないのだ。

ビニールと骨を分け、骨をテープで束ね、分別して...

使い捨て傘の処分方法は自治体によって詳細は異なるものの、基本的には以下の手順が必要となる。

① ハサミを使い、ビニールと骨組みをわける
② 骨組み部分は危ないのでテープで束ねる
③ ビニール・骨組みをそれぞれ分別して該当の収集日に出す

この手間をかけるのが面倒で、家に不要な使い捨て傘を溜めてしまい、引っ越しや大掃除のときにまとめて出す、なんて人も多いだろう。

ビニールと骨組みに分けるマシンガンズ滝沢さん
ビニールと骨組みに分けるマシンガンズ滝沢さん

そして、この面倒な傘の処分に頭を悩ませているのは家庭だけではない。駅や電車内に置き忘れられたビニール傘、オフィス街に打ち捨てられた廃傘、持ち主不明になってしまった使い捨て傘に、管理者は苦悩している。

そんな中で広がりを見せているのが、「使い捨て傘」をゼロにしようという取り組みだ。

マシンガンズ滝沢さんがビニール傘の解体を実演したのは、日本初の傘シェアリングサービス「アイカサ」を展開するNature Innovation Group(東京都渋谷区)が実施した記者会見内でのこと。同社はここで22年にスタートした「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクト」の成果を報告した。

「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクト」発表会の様子
「2030年使い捨て傘ゼロプロジェクト」発表会の様子

首都圏の駅を利用する人は、アイカサの「シェアリングスポット」を見たことがあるかもしれない。

それもそのはず、同社が発表した「成果」は22年11月に首都圏大手鉄道会社10社との連携を完了したこと。

この取り組みで「アイカサ」が提示するのは、「使い捨て傘を買う」のではなく、「傘を借りる」という選択肢だ。

年間約8000万本の「使い捨て傘」を消費する日本

Nature Innovation Groupによれば、「1回の雨で150万人が傘に困り、そのうちの15万人が仕方なく傘を買っている」と推測されている。その結果、日本全国で毎年約8000万本の使い捨て傘が消費されているのだという。

同社ではそんな問題を解消すべく、駅を中心に「アイカサ」のシェアリングスポットの展開をスタートした。同社代表取締役社長の丸川照司さんいわく、現在、首都圏の400弱の駅に設置済み。そして首都圏を中心に、観光地や地方も含め、2024年中に1000駅ほどの設置を目指しているという。

丸川代表(写真右)とJR東日本スタートアップの阿久津さん
丸川代表(写真右)とJR東日本スタートアップの阿久津さん

発表会に登壇したJR東日本スタートアップ(本社:東京都港区)・シニアマネージャーの阿久津智紀さんは、アイカサと連携した背景として、元々駅や電車内から出る使い捨て傘の処分に困っていたことを明かした。 そして2019年からJR東日本の一部駅にアイカサを設置。利用者からの評判は上々で、着々とその設置数を増やしているという。

また、会見には今年度から始まる「2030使い捨て傘ゼロプロジェクト for ビルディング」に参画する企業も登壇。オフィスビルの管理を行うジャパンリアルエステイトアセットマネジメントや東京建物、東急不動産リート・マネイメント等の担当者らが、オフィスビル周りに捨てられた壊れた廃傘や、ビルから出る持ち主不明の使い捨て傘の処分についての問題などを挙げた。

その上で、アイカサのレンタルスポットを設置することで廃棄物の削減やビルで働く人々の環境改善などの効果を実感・期待していると語った。

企業とコラボしたオリジナル傘
企業とコラボしたオリジナル傘

アイカサは、ただエコで便利というだけではなく、種類の多さも魅力のひとつ。旭化成ホームプロダクツやSUNTORY、TOKYO GASなど、多くのパートナー企業とオリジナルのコラボ傘も多く制作しており、街中の設置場所でそれらに出会うことが出来る。

今後は駅やオフィスだけではなく、学校や観光地など、身近な場所への設置をもっと増やし、2030年には「使い捨て傘ゼロ」になることを目指していく。

素敵なデザインの傘をさすと、雨の日で沈んだ気持ちもちょっと晴れる。しかもゴミを出さずに済むし、ビニール傘を買うより経済的(1本あたり24時間110円)。急な雨が多くなっていくこれから、検討してみてもいいかもしれない。

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