「空港への行き方を聞いてきた『田舎から出てきた風』のおじさん。そっけなくして、別の車両に乗ってたら...」(東京都・50代女性)
北海道・厚岸からきたおじさん
「おじさん、違う! 羽田駅じゃなくて羽田空港駅まで行くんだ~!」私は飛び起きて、咄嗟に車両のドアから顔だけ出して
「おじさん!! ここじゃないです! 羽田空港はまだ先! 乗って!」
とホームに向かって叫んでいました。
もちろん事情を何も知らない周りの乗客は、突然飛び起きて叫んだ私にびっくり。ホームのおじさんもびっくりしていましたが、モノレールに再び飛び乗りました。
モノレールが混んでいたので、お互いそのまま隣の車両に乗ったまま羽田空港まで行きました。周りの注目の的になりましたが、私は開き直って素知らぬ顔してまた座席に戻りました。
やがて、羽田空港駅で下車してから、おじさんは私のところに飛んできました。
「ありがとう! ありがとう。私は厚岸のものなんですが、何かお礼に送りたいので連絡先を教えてください」
そう言ってくれたのですが、20代のうら若き娘だった私は中年おじさんに連絡先を教えるのをためらいました。また周囲からの視線が気恥ずかしかったのもあって、またしてもそっけなく「結構ですので」と断り、そのまま足早に去ってしまいました。おじさんはちょっと寂しそうに私の方をずっとみていました。
それから25年以上経った今でも、思い出します。おじさんが無事に厚岸に帰れたか気になり、そっけなくしてしまったことを後悔していでもとっさに叫ぶことの出来た、若かった自分を誇らしく思う気持ちもあり、今でも子ども達に語って聞かせたりしています。
あの人の好さそうなおじさんの笑顔が今でも思い出されます。あの時「都会の人は冷たい」って思われたか、それとも「都会の人も優しかった」と思ってくれたか、どっちかなぁ。
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