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「レターパックでいかなご送る」は兵庫の春の風物詩 郵便局が販売する「専用ケース」は、毎年1万個も売れてます

福田 週人

福田 週人

2023.03.29 18:34
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「レターパックで現金送れ」はすべて詐欺であるが、レターパックはいろいろ送れて大変に便利である。

例えば、兵庫県の郵便局では春になると、こんなものも送れることをアピールしているという。

いかなごのくぎ煮......?(画像は黒鯛@kurodai_bortさんのツイートより)
いかなごのくぎ煮......?(画像は黒鯛@kurodai_bortさんのツイートより)

こちらは、兵庫県在住のツイッターユーザー・黒鯛(@kurodai_bort)さんが2023年3月6日に投稿した画像だ。レターパックを宣伝するのぼりに書かれているのは、こんなメッセージだ。

「いかなごのくぎ煮送るなら郵便局へ」

「いかなごのくぎ煮」とは、兵庫県の瀬戸内海沿岸地域で春先になると作られる郷土料理。イカナゴという魚の稚魚を甘辛く似た佃煮のことだ。2月末から3月初旬にイカナゴ漁が解禁されると、人々はこぞって水揚げされたばかりの新鮮なイカナゴを購入して、炊くという。地域の人々がどれほどその季節を心待ちにしているかというと、イカナゴ漁の解禁日に魚屋前に行列ができるほど (こちらを参照) らしいが......。

それを「どこかへ郵送したい!」と思う人が、そんなにも多いのだろうか? 「いかなごのくぎ煮送るなら郵便局へ」とアピールするほどに......?

関東出身なのでちっともピンと来ないJタウンネット記者は10日、まず投稿者・黒鯛さんに話を聞いた。

地元民にとっては、ただの日常

兵庫県神戸市出身・在住だという黒鯛さんがのぼりを発見したのは6日の13時ごろ。場所は神戸市にある須磨郵便局の店頭だ。

黒鯛さんにとってこののぼりは、毎年春になると見かけるもので、普段なら気にも留めないありふれた存在だった。

しかし、初めて投稿すると即座に「レターパックで現金送れ」「はすべて詐欺です」のスタンプが送られてくることで話題になったSNS「Misskey」に登録し、その洗礼を受けたばかりの黒鯛さんの目には、いつもと違う映り方をした。

「のぼりの『レターパック』『いかなごのくぎ煮送るなら』の文字が目立って見えたため、面白いと思って撮影・投稿しました」(黒鯛さん)
「いかなごのくぎ煮」ののぼり(画像は日本郵便近畿支社広報提供、以下同)
「いかなごのくぎ煮」ののぼり(画像は日本郵便近畿支社広報提供、以下同)

つまり、Misskeyがなければ特に不思議には思わないほど、春に「レターパックでいかなごのくぎ煮を送ること」は地元民にとっての日常なのである。

どれくらいの人がいかなごのくぎ煮を郵便局へ持ち込み、どこかへ送っているのだろうか。Jタウンネット記者は27日、日本郵便近畿支社の広報担当者にも話を聞いた。

例年約1万個程度の需要

広報担当者によると、兵庫県の瀬戸内海沿岸地域で「いかなごのくぎ煮を送るなら」ののぼりが設置され始めたのは、2005年ごろのこと。

「それ以前から、この地域では地元の方々がご自宅等で炊かれた『いかなごのくぎ煮』を親戚や知人等へ発送されていたようです。また、阪神淡路大震災のボランティアの方々への復興の御礼としても、多く発送されていたようです」(担当者)

そこで、全国統一の料金で送れるレターパックのPRおよび地域特産品であるいかなごのくぎ煮を全国に広める地方創生の取組の一環として、のぼりを作ったという。

また、郵便局では利用者の要望に応えて「いかなごのくぎ煮」を送るための専用ケースやシールといったグッズも販売。こちらも2005年頃から始まったサービスとのことだ。

「いかなごのくぎ煮」のシール
「いかなごのくぎ煮」のシール
「(いかなごのくぎ煮は)基本的には各ご家庭で手作り頂いたものを承っており、封入容器については例年約1万個程度の需要を頂いています」(担当者)

レターパックで現金送れはすべて詐欺。「レターパックでいかなご送るよ!」は兵庫の春の風物詩。

Jタウンネットの編集長は姫路市出身なので、「レターパックでいかなご送れ」って言ってみようかな。

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