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凍り付いた駅、ゴンドラ内で上がる悲鳴、そして外に広がる「天国」 八甲田山を行くロープウェーがすごいスリル

松葉 純一

松葉 純一

2023.02.02 20:25
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「樹氷という天国のような景色が見られると聞いて来たら地獄だった」

2023年1月29日、そんな呟きと共に青森某所の写真がツイッターに投稿された。

樹氷とは、樹木に冷えた水の粒が付着して凍り付いたものだ。立ち並んだ木々が真っ白に覆われた姿は、なんとも神秘的である。

日本には樹氷で有名なスポットがいくつかある。その内の一か所が、青森・八甲田山だ。

ツイートの投稿者は、それを見るために「八甲田ロープウェー」に乗ろうとしたのだが......。

「青森の鳥の人 」(@torinohitonikki)のツイートより
「青森の鳥の人 」(@torinohitonikki)のツイートより

ロープウェーの乗り場には、びっしりと雪や氷が貼り付いてしまっている。とてもゴンドラに乗れそうには見えない。しかし、ツイートは続く。

「このロープウェーに乗って下さいとか
おかしなこと言われました
絶望しかない詰んだ」

なんとロープウェーは運行していたようだ。

ツイッターユーザー「青森の鳥の人 」(@torinohitonikki)さんによる投稿には、1万9000件もの「いいね」が付けられ、こんな声も寄せられている。

「この世の終わりのような風景ですね」
「樹が樹氷になってなくてロープウェイが樹氷化しとる」
「建物まで樹氷になりかけてる」
「北極圏ですか」

この日はいったい、どんな状況だったのだろう? 冬はいつもこうなのだろうか?

Jタウンネット記者は、投稿者「青森の鳥の人」さんと、「八甲田ロープウェー」に話を聞いた。

悲鳴を上げる乗客、何食わぬ顔の職員

八甲田ロープウェーは十和田・八幡平国立公園の北部に位置し、標高約660メートルの「山麓駅」と約1310メートルの「山頂公園駅」を結んでいる。片道10分程度で、中からは八甲田山の絶景を楽しむことができるという。

投稿者「青森の鳥の人」さんが乗車しようとしたとき、現地の様子は次のようなものだった。

「ロープウェーの電光掲示板で、山頂付近の気温はマイナス19度、風速20メートルくらいだったと思います。風で積もった雪が舞い上がって、空も地面も真っ白で、境があやふやな状況でした」(「青森の鳥の人 」さん)
真っ白...(「青森の鳥の人 」(@torinohitonikki)さんのツイートより)
真っ白...(「青森の鳥の人 」(@torinohitonikki)さんのツイートより)

ゴンドラはそんな中を、投稿者と同乗者、そして職員を乗せて動いていく。

「同乗者の方々もロープウェーの光景と寒さに驚いて悲鳴をあげていましたが、職員の方々はもうこれが日常なんでしょうね。私の感じ方ですが、凍ってますが何か?というくらい淡々とガイドされていました。なので安心感がありました」(「青森の鳥の人 」さん)

そうして彼らは、もちろん無事に、山頂駅まで辿り着いたのだ。「青森の鳥の人」さんはその体験を振り返り、こう語る。

「ものすごく怖いですが、樹に積もった雪へ太陽光が反射して、とても美しい光景です。ぜひ見に行っていただきたいです」

凍りついた乗り場を見て、一度は地獄かと覚悟したようだが......やっぱり天国だったらしい。

雪が原因で運休することはない。だが......?

投稿のような大変な豪雪でも動く八甲田ロープウェーだが、Jタウンネット記者が同社を取材したところ、運休することもあるらしい。

この力強いロープウェーが止まるとは、どんな状況なのか。

広報担当者に聞くと、次のように答えた。

「このロープウェーは、雪が降る前提で設計されていますから、雪が原因で運休することはありません。
しかし、山頂公園駅付近の風速が25メートルを超えると、運休することになります」(八甲田ロープウェー広報担当者)

さすが青森、雪ならば怖くはないようだ。しかし、ロープウェーという乗り物の性質上、風が弱点なのはどうしようもない。

ちなみに、2023年2月1日も山頂付近強風のため、運休となっていた。

雪は全然怖くない(「青森の鳥の人 」(@torinohitonikki)さんのツイートより)
雪は全然怖くない(「青森の鳥の人 」(@torinohitonikki)さんのツイートより)

八甲田ロープウェーの公式サイトによると、例年、樹氷の見ごろは1月~2月ごろ。

運行していれば、ぜひロープウェーに乗って見に行っていただきたい。

勇気をもって恐怖を乗り越えれば、そこには樹氷という天国が待っている。

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