「超満員で通路まで埋まった特急列車。私の子供たちが『座りたい』と泣き出すと、指定席の中年夫婦が...」(都道府県・年齢性別不明)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Kさん(都道府県・年齢性別不明)
15年ほど前の年末、Kさんは帰省のため幼い娘と息子を連れて電車に乗った。
乗り換え先の駅で降り、次の電車を待つことにしたKさんだったが......。
<Kさんの体験談>
15年ほど前の年末、帰省のため保育園に行く年頃の娘と息子を連れて電車に乗りました。
途中で乗り換えた駅からは信号の不具合で電車が遅れており、ホームで待つことに。自宅を出発してから5時間が経過していた私たちは、既にクタクタになっていました。
しゃがむことも出来ない満員電車で、子供たちが泣き出して...
節約のため普通列車に乗る予定でしたが、ようやく来たのは特急電車。仕方がないと思い乗り込むと、自由席はもちろん指定席の通路にも人が立っていて、しかも、しゃがむことすら出来ないほどの満員です。
指定席の方に了承いただき立って出発を待ちましたが、発車したのはそれから40分ほどが経ってから。動き出してもノロノロ運転で、普通に運行していても1時間半はかかるのに、一体何時間かかるのか......。
そんな中で、子供たちが「座りたい」とぐずりだしました。
「他のみんなも頑張ってるから、もう少し頑張ろう」と言いましたが、2人は泣きべそをかきだす始末。すると、指定席に座っていた40~50代のご夫婦と見られる男女に後ろからトントンと肩を叩かれました。
「どこまで行くの?自分達は次で降りるから座っていいよ」
お2人はそう言って、電車の後方の出口のほうへ移動していきました。
誰か来たら立とうと思っていたのに...
お2人にお礼を伝えはしましたが、指定席なので後で乗ってくる人がいるかもしれません。
でも、それまでの間は......と、子供たちには「座れるのは今だけ」と伝えて、座らせました。しかし、それからいくつか駅を過ぎても人が来ることはありません。結局、地元の駅までそのままでした。
降車する際、一番近い出口は後方でしたが、隙間もないくらい人がいたため、少し人の動きのある前方の出口へ向かいました。
ホームから再び動き出した電車を何気なく見ると、席を譲ってくれた男性と女性が電車の後方出口付近の窓から笑顔でこちらを見てくれていました。
次で降りると言ったのは、私に気を遣わせないように言ってくれた嘘だったのです。
私は驚いて咄嗟のリアクションも出来ず、走り去る電車に向かって頭を下げることしか出来ませんでした。
疲労困憊の中、唯一の救いだったお2人に今でも感謝していますし、私もそういう人間になりたいと思っています。
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