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こんな光景見たことない! 海洋自然写真家が激写した「空飛ぶイカの群れ」が話題に

大久保 歩

大久保 歩

2022.09.07 21:00
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「トビイカ」というレアな海の生き物のまさに奇跡的な瞬間を捉えた写真が、ツイッターで大きな注目を集めた。

トビイカの群れが飛翔する瞬間!(写真は岡野さん提供)
トビイカの群れが飛翔する瞬間!(写真は岡野さん提供)

これは、海洋自然写真家の岡野哲也(@shirokito)さんが2022年8月22日、自身のツイッターアカウントに投稿した写真。21年6月26日に東京・竹芝と八丈島を結ぶ「東海汽船」に乗船中、三宅島と御蔵島の間で撮影したものだ。

薄暗い朝、海面の上に複数の物体が浮かんでいる。コピー&ペーストしたかのように同じような角度で、上部と下部には違う形のヒラヒラがある。

彼らが「トビイカ」。漢字では「鳶烏賊」と書き、海上を飛ぶことがあるイカの一種だ。

18年7月、小笠原海運小笠原航路八丈島沖にて撮影(写真は岡野さん提供)
18年7月、小笠原海運小笠原航路八丈島沖にて撮影(写真は岡野さん提供)

複数の角度から激写された貴重なトビイカの写真に、驚嘆する声が続々とリプライで寄せられた。

「すごい。烏賊が飛ぶのを初めてみた」
「こりゃすごい。イカってこんな風に飛ぶんですね。素晴らしいです!」
「それにしても見事な青色」
「JRの新幹線を思い出しました。キレイですね」

また、どのように撮影したのか教えを請う人も。

確かに、ちょうど群れが一斉に飛んだ瞬間を捉えるなんて、非常に難しそうに思える。筆者は22年8月26日、撮影者の岡野さんに詳細を取材した。

朝5時から夕方まで海を眺め続け...

トビイカが飛翔する瞬間を撮影するために、年間10回以上は船で海へ出ているという岡野さん。感覚としては、6~7月、東海汽船の八丈島航路や小笠原海運の小笠原航路に2~3回乗船すれば、1回くらいはトビイカに遭遇できるかもしれない、くらいのレア度だという。なお、1度の航海は午前5時から16時くらいまで10時間超、甲板で海を眺め続けるという過酷な観察条件を指す。

一方、海上を飛ぶ海の生き物としてよりメジャーなトビウオには、春から夏に同じ場所を航ればほぼ100パーセント、しかも1度の航海で数十回は飛んでいる姿を見られるとのこと。

トビイカ、レアすぎる。

21年6月5日、東海汽船八丈島航路・御蔵島近くにて撮影(写真は岡野さん提供)
21年6月5日、東海汽船八丈島航路・御蔵島近くにて撮影(写真は岡野さん提供)

出会えるだけでもラッキーなトビイカなのに、彼らがちょうど飛んでいる瞬間を激写するのは至難の業に違いない。撮影のコツはないか聞いてみると、岡野さんはこう教えてくれた。

「瞬間勝負なのでカメラを手に持って、カメラも即シャッターを切れるように、スリープしない状態の臨戦態勢でずっと待っていて狙うことになります」

さらに、「カメラを被写体に向けたとき画面中央に入れられるよう、望遠レンズを付けた状態でレンズを振る練習がとても効果があります」とのこと。

もし、岡野さんのような激レア写真を撮ることを目指している人がいれば、参考にしてみてはいかがだろう。

海を飛ぶイカの魅力は?

海洋自然写真家である岡野さんは、トビイカだけでなく、クジラやイルカ、トビウオなどさまざまな海の生き物をカメラに収め続けている。

その中で「トビイカならではの魅力」とは、なんだろうか。

「やはりレア物であるということと、飛んでいる姿がすごいので記録したいと強く思える被写体ということが大きいです。あと、あまり他の人が撮っていないので絶対撮りたいという気持ちが強くなります」(岡野さん)
18年7月14日、小笠原海運小笠原航路・御蔵島沖にて撮影(写真は岡野さん提供)
18年7月14日、小笠原海運小笠原航路・御蔵島沖にて撮影(写真は岡野さん提供)

岡野さんが次に狙うのは、トビイカが海水を吹き出して加速しながら飛んでいく瞬間だ。

「大きな群れが一斉に飛び出した瞬間は、海面上に白い糸が突然伸びるようでとてもきれいなんです。これに遭遇してはいるのですが、いかんせん水を吹き出しているのは飛び出しから1秒くらいなので、これまでまともに撮れていません。ぜひとも撮りたいと思っています」(岡野さん)

飽くなき探究心でシャッターチャンスを狙い続ける岡野さん。新たな1枚が見られるのが楽しみだ。

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