富士山写真家も「奇跡レベルです!」 朝焼けの空と湖面に渦を巻く「つるし雲」が雄大すぎる
数年に1度、奇跡のシチュエーション――富士山を撮り続けている写真家がそう断言する、あまりに神々しい1枚がツイッターで多くの人の心を掴んだ。
撮影したのは、写真家の橋向真(@MakotoHashimuki)さん。2022年6月26日午前4時、静岡県富士宮市の田貫湖(たぬきこ)から見た富士山だ。
朝焼けの空の色、ひときわ存在感を放つのは富士山の真上に浮かぶ渦のような雲。湖面にも見事に反射し、なんとも幻想的な1枚だ。
リプライ欄には、こんな声が。
「これは神秘的レア」
「本当に写真で見ても凄いですし、現地で見たら言葉が出なそうです......!!」
「こんなに雄大なのは、そう滅多にあるものではありませんね」
「凄すぎます。こんなの目の当たりにしたら鼻血出ちゃいます」
筆者は27日、撮影した橋向さんに詳しい話を聞いた。
奇跡のシチュエーション
写真に映っている渦のような雲は「吊るし雲」と言って、高い山の風下に現れるもの。通常の雲と違ってほとんど動かず、吊るされているように見えるそう。
橋向さんは、撮影の前日からこの吊るし雲の様子をライブカメラでチェックしていたという。そして深夜から夜明けの景色を狙い、現地を訪れた。
「ここまで大きな吊るし雲と湖畔に映る逆さ富士を収められるのは数年に一度!奇跡のシチュエーションです。 吊るし雲が美しい状態で保ちつつ、更に湖畔が揺れないという条件なので、奇跡レベルです!」(橋向さん)
橋向さんは写真家としてひたすら富士山を撮り続けていて、写真集『神気 新・富士山景』やカレンダー『新・富士山景CALENDAR 2022』(ともにインプレス)なども出版している。
富士山の様々な姿を見てきた橋向さんをして「奇跡」と言わしめる、本当に貴重な瞬間だったわけだ。
今回の写真のこだわりを聞くと、
「全て自然が起こす神がかりな雲の芸術なので、僕はそれにひたすら感激しながらシャッターを切るだけです!」
と、橋向さん。いったい、富士山の何がここまで彼を惹きつけるのか。
「今回のこの様なシチュエーションに出会ったとき、人知を超えた得体の知れないものに鳥肌が立ったり、手が震えたり、感動で涙することもあります。そこには目に見えない神の気配、正に神気を感じているのです。
こんな体験や経験はなかなかできるものではありませんから!それが富士山を追いかけている理由です」
「神気」には、不思議な霊気や、神々しいような趣という意味もあり、橋向さんが出版した写真集のタイトルにもなっている。
富士山が発する「神気」――それこそが、画面越しにすら多くの人を魅了するものなのかもしれない。
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