超長生きのサボテンに、奇想天外なデカ葉っぱ 3月末で閉館の「川口市立グリーンセンター大温室」見どころ大案内
埼玉県川口市にある植物園「川口市立グリーンセンター」の大温室が2022年3月31日をもって閉館する。
同施設は1967年に開園。花壇広場やボタン園などでの植物の展示だけでなく、展望スベリ台やミニ鉄道といった子供が楽しめるレクリエーション施設もあり、家族でのレジャーや遠足で利用した埼玉県民も多いのではないか(筆者も幼少期に幾度となく家族に連れて行ってもらった)。
特に目をひくガラス張り大温室は、開園当初からあるシンボル的な存在だ。
閉館は大温室の老朽化とグリーンセンター全体の再整備に伴うもので、時期は未定ではあるものの、将来的に新しい温室が作られるという。
半世紀以上もの間、来園者を楽しませてくれた大温室に行ける日々は、あとわずか。
そこで筆者は3月10日、グリーンセンターを訪問。温室担当の島野篤史さんに案内してもらい、見どころを教えてもらった。
化粧パフのようなかわいい花
大温室の内部は3種類に分かれている。まずは、一番大きな熱帯温室を訪れた。
熱帯植物が1年を通じて観賞できる熱帯温室で、島野さんは「今が旬」という花「カリアンドラ ハエマトケフェラ」を最初に紹介してくれた。
ボリビア原産のこちらは、つぼみから弾けるように花が咲くのが特徴。その形状から英語で「パウダーパフ」とも呼ばれるという。
筆者が訪れると、かわいらしい花が癒しを与えてくれた。
閉館までに咲いてくれるか!?
続いて島野さんが紹介してくれたのは、「マルバビスカス」というハイビスカスの仲間だ。
まだつぼみのような状態にも見えるが、すでに咲いている状態。
これからも見ごろになるかもしれない品種も教えてくれた。ブドウの房のような形状が印象的な「ヒスイカズラ」だ。
名前の通り、「翡翠」のような美しい色の花びらが特徴的なのだが、筆者が訪れた段階では咲いていなかった。しかし、島野さんは、こう話す。
「4月半ばごろからが開花時期なので、閉館しても園内のどこかで別の場所に咲いたヒスイカズラの花を展示できたらと思っています」
ご長寿なサボテンが見られるぞ!
大きなガラス張りの熱帯温室を抜けると、その先には水生温室がある。こちらはあまり大きな場所ではないものの、様々な熱帯スイレンが展示されている。
筆者が訪れたときも、「ミセス・エミリー・ハッチング」などが花を咲かせていた。
水生温室からさらに進むと、サボテンをはじめとする多肉植物が展示される温室が待っている。
寿命が30年程度と言われながら、開園当初(つまり55年も前!)から生き続けているご長寿の「キンシャチ」をはじめ、多肉植物が多く展示されている。ここでの見どころを聞くと、島野さんは「キソウテンガイ」と答えた。
キソウテンガイってなんだ?
ずいぶんと変わった名前のキソウテンガイは、生涯のうちに2枚だけ葉を出して、それがどんどん成長していく植物だという。
「ここのキソウテンガイは、3メートルほどあり、これだけ伸びているのは関東でも珍しいのでは」
と島野さん。筆者も紹介されたとき思わず「何これ!」と声を出してしまった。この奇想天外な姿は、ぜひ目に収めていただきたい......
多肉植物のコーナーで大温室は終了。ここで島野さんは園内にある「観賞温室」も案内してくれた。
観賞温室では、グリーンセンターで1000種類3000鉢を保有する「カトレア」をはじめ、多くのランが展示されている。
ランは形も色もさまざまで、コブラのような形状に驚かされる「コブラオーキッド」など個性的な花が展示されている。こちら観賞温室も3月で閉館となるため、ぜひ訪れたい場所だ。
正直、植物にはあまり興味のない筆者だったが、実際訪れて見ると、植物たちの世界にどっぷり。島野さんの案内が終わってからもう1周して1時間以上も滞在していた。
ちなみに、「閉館までに行けない!」という人もいるだろう。そんな人のためにグリーンセンターでは、特設サイト「たなボタニカル」内で、バーチャルで大温室の内部を観賞できる。
とはいえ、半世紀以上グリーンセンターのシンボルであり続けた大温室の重厚な雰囲気は、ぜひ生で味わってほしい!
(3月16日11時13分追記)川口市立グリーンセンターから、回答した内容を訂正したいとの要望があり、一部修正しました。