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入獄できるのは雪の季節だけ! 網走監獄「雪の懲罰房」が寒そうだけど楽しそう

福田 週人

福田 週人

2022.01.31 15:00
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「来館の記念にぜひ入獄してください」

2022年1月25日、北海道網走市にある博物館「網走監獄」(旧網走刑務所)の公式ツイッターアカウント(@kangoku_prison)がこんなコメントと共に投稿した写真が話題になっている。

字面だけ見ると何やらおっかないが、安心して欲しい。本当に入獄させられるわけではなく、冬の時期にのみ現れる「ある施設」の中を見学できるという意味である。

その名も──「雪の懲罰房」だ。

ひたすら寒そう(画像は網走監獄公式アカウントのツイートより)
ひたすら寒そう(画像は網走監獄公式アカウントのツイートより)

懲罰房とは、刑務所内で規則を破ったり看守の命令に従わなかったりした被収容者を閉じ込める独居房のこと。網走監獄公式サイトによると、かつて網走刑務所で使われていた独居房には窓がなく中は真っ暗で、扉は二重。しかもレンガの壁の厚さは40センチメートル以上もあるという。

「雪の懲罰房」は、そんな独居房を文字通り雪で再現したものなのだ。

Jタウンネット記者は「雪の懲罰房」についてさらに詳しい話を聞くため、網走監獄の総務部業務課係長・菊池拓朗さんを取材した。

1週間ほど雪を溜める

菊池さんによると、投稿写真の「雪の懲罰房」が設置されたのは25日。しかし、準備はその1週間ほど前から進められていた。

ベースとなる雪を溜めている様子(画像は網走監獄提供)
ベースとなる雪を溜めている様子(画像は網走監獄提供)
「ある程度雪がまとまって降る1月から制作会場に木枠を設置して雪を溜め、1週間程度放置して雪が溜まったら、まず外観の格子をはめる箇所や横にある入口を掘り進めていきます」(菊池さん)

つまり、木枠の形にたまった雪を、かまくらを作るように掘っていくのだ。また、日光などで天井の雪が解けた時に崩落しないように、天井部分をくり抜いて板を設置する。

最後に外側の雪を整形し、細い溝を掘ってレンガ造りに見えるようになったら完成だ。

側面には中に入るための入り口が空けられている(画像は網走監獄提供)
側面には中に入るための入り口が空けられている(画像は網走監獄提供)

雪を溜める期間を除いた制作時間は、約7時間程とのことだ。

約20年前から毎冬作っている

菊池さんによると、網走監獄では、20年ほど前から「雪の懲罰房」を毎年制作している。設置の理由を尋ねると、

「日本人のお客様はもちろんですが、冬の観光は雪の降らない地域(台湾、香港など)のインバウンドのお客様が多くを占めており、お客様に雪を楽しんでもらいながら見学の記念となるような、冬限定の写真スポットを作りたいという事で制作をしております」

と説明。コロナ禍の影響もあってか現在は海外からの観光客は皆無だそうだが、「毎年楽しみにしていただいている日本人のお客様もいらっしゃいますので、今年も制作致しました」。

雪のない国の観光客に楽しんでもらえるように(画像は網走監獄提供)
雪のない国の観光客に楽しんでもらえるように(画像は網走監獄提供)

なお、製作は基本的に博物館職員が行っているが、状況によっては博物館の各種イベント補助や清掃などをしている「博物館網走監獄友の会」の会員に制作を依頼する年もあるという。

特に2022年は雪の量が多く、職員は除排雪作業にあたっていたため、冬観光シーズンに間に合わせるべく友の会の有志5人が「雪の懲罰房」の制作を行ったそうだ。

「冬限定の懲罰房で、見学ルートで必ず通る場所に設置してありますので、多くのお客様に『面白い』、『意外に中は暖かい』と言っていただいたり、記念撮影をしていただいたりしております」(菊池さん)

もし冬に網走を訪れる機会があれば、皆さんも記念に「入獄」してみては?

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