茶葉がひらくのを待ちながら、言葉の世界も楽しめる...! 美大生が発明した「試し読みできる」ティーバッグに大反響
カップにティーバッグを入れ、お湯を注ぎ......紅茶ができあがるまでの数分間、あなたは何をしているだろう?
ちょっとしたスキマ時間がなんとなく手持ち無沙汰で、スマホをいじって待つ......という現代病患者にこそぜひ知ってほしいアイテムが今、注目を集めている。ある美大生がデザインした「ティーバッグ」だ。
これは、ツイッターユーザーの行雲さん(@gyouzazaza_za)が2022年1月18日に投稿した写真。
現在、美術大学の3年生である行雲さんが、1年生のときにデザイン科の課題で作った作品をリメイクしたものだという。
課題内容は、紅茶のティーバッグを、機能面を重視した場合と楽しむことを重視した場合とで、2パターン考えてリデザインすること。
行雲さんが制作した作品「LEAF TIME」は、個包装を開くと小さな本になっていて、しおりひもの先にはティーバッグが。
そう、紅茶ができるまでの間に小説の試し読みができるという、ユニークなアイデアなのだ。
スキマ時間を活用できるだけでなく、見た目も楽しい作品で、大学の課題にとどまらず、商品化してほしいくらいのクオリティ......はたして、この作品はどのように生まれたのだろう。Jタウンネット記者は21日、作者の行雲さんに詳しい話を聞いた。
選んだ7冊の共通点は?
始まりは、「紅茶プラス何かを組み合わせたら面白そう」という思いつきだったという。
「本がもともと好きだったので、小説が読める紅茶があったら面白いのではと思いつきました。紅茶は、作るときに手持ち無沙汰になるので、そこの時間で読み切れるような試し読みの形にしました」(行雲さん)
全7作品が1つの箱に入っていて、個包装を開くとそれぞれに違う小説の冒頭の数ページが印刷されている。最後のページにはQRコードも添付され、その書籍の販売ページに飛べるという仕組みだ。
気になる小説のラインアップは、以下の通り。
・「僕のつくった怪物 Arknoah 1」(集英社) 乙一
・「杉の柩」(早川書房) アガサ・クリスティー
・「ロシア紅茶の謎」 (講談社) 有栖川有栖
・「セイロン亭の謎」 (新潮文庫) 平岩弓枝
・「たかが殺人じゃないか」 (東京創元社) 辻真先
・「体育館の殺人」 (東京創元社) 青崎有吾
・「緑柱石の宝冠」(新潮文庫) コナン・ドイル
※いずれも、書名・出版社名・著者名の順。
選ばれた小説には共通点があるのだが......詳しい人は、すでにピンときたかもしれない。
2年前の評価はイマイチで...
そう、これらは「紅茶にまつわるミステリー」を中心にしたブックリストなのだ。
「僕のつくった怪物 Arknoah 1」はファンタジー小説だが、主人公である兄弟の名前が「アール」と「グレイ」なのも気が利いている。
随所に工夫が散りばめられた、「LEAF TIME」。しかし、1年生のときに作ったプロトタイプの段階では、学生どうしの投票でほとんど票が集まらなかったのだとか。
「学校に提出してプレゼンして、そのあと学生同士で投票するのですが、1~2票しかなくて落ち込んだのを覚えています。もっと上手い人が周りにたくさんいるので当たり前ですが」
「教授からは、一晩で作ったものだしこんなもんだろという感じで優しめのコメントをいただいたような気がします」(行雲さん)
その2年後、大幅にリメイクした本作品はツイッターで大きな話題になり、約2万5000件の「いいね」、1万弱のリツイート(27日時点)を集めるまでに進化!
どのような部分をバージョンアップしたのだろうか。
ふたつの「葉」を楽しむ
「プロトタイプは、ただ袋の内側に試し読みを印刷しただけでしたので、もっと見た目で本がモチーフだとわかるようにしました」
「前回は、写真が教室でスマホを使って撮ったてきとうなものだったので、今回は学校のスタジオできれいに撮影しました」(行雲さん)
さらに、以前貰った「ふたつの『葉』を楽しめて幸せですね」という感想をヒントに、茶「葉」と言「葉」をかけて「LEAF」をモチーフにしたロゴも新たに作成。
「ただの試し読みができる紅茶じゃなくって、待ち時間を楽しくする、心も体もあったかくなる時間を提供する紅茶だね」
そんなコメントをもらったのがきっかけで、「LEAF TIME」と命名し、作品のコンセプトとした。
プロトタイプにもらった感想をもとにブラッシュアップし改善を重ねた結果、生まれ変わった作品だったのだ。
作品を紹介した投稿のリプライ欄には、「欲しい」という声が殺到。
「紅茶好き&本好きにはたまりません」
「素晴らしすぎる...可愛い...欲しすぎます」
「本好きの理想です 紅茶屋さんにこんなの売ってたら即買い」
「焼き菓子のギフトボックスに1つ入ってると良いな」
ほぼ毎日、紅茶を飲んでいる記者としてもぜひ、商品化してほしい!