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苺、グラニュー糖、そして「元寇」 佐賀県産ジャムに蒙古襲来?謎に包まれた原材料の正体は...

松葉 純一

松葉 純一

2022.01.04 18:00
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キリスト教の宣教師によって、馬渡島にもたらされた

Jタウンネット記者の電話取材に応じたのは、富田農園の富田秀俊さんだ。

「げんこうという柑橘類は、キリスト教の宣教師によって、馬渡島にもたらされたと聞いています。彼らは前任地である中国大陸のどこかで、その柑橘類の苗木を手に入れたのではないでしょうか」(富田秀俊さん)

長崎県外海地区などには「ゆうこう」と呼ばれる香酸柑橘類が自生しているという。「げんこう」「ゆうこう」、他にも「とうこう」と呼ばれる柑橘類もあるそうで、これらは宣教師たちによって、当時の日本人信徒たちに伝えられたと考えられているそうだ。

「元寇」という漢字をあてたのは、残念ながら間違いではないか、とのこと。蒙古軍の襲来(13世紀)と、キリスト教伝来の頃(16世紀)とでは、時代が違いすぎるからだ。

柑橘の「柑」は「柑子(こうじ)」「柚柑(ゆこう)」のように「こう」と読むこともあるので、「げんこう」の「こう」も「柑」なのかもしれない。

完熟すると黄色くなるらしい(写真は「元寇」入りジャムの製造者「檸檬の木」提供)
完熟すると黄色くなるらしい(写真は「元寇」入りジャムの製造者「檸檬の木」提供)

「馬渡島の人々には、げんこうの果汁を焼酎に混ぜて飲む習慣があったそうです」と語る富田さんは、馬渡島に自生していたげんこうから接ぎ木を受け、現在、唐津市浜玉町の農地約40アールで栽培している。そして21年3月、富田さんは自分の農園で育てたげんこうの成木20本を、「恩返しになれば......」と馬渡島の畑に移植したという。

げんこうは、レモン、ユズ、カボスに似た香りのよい「香酸柑橘類」だが、冬を越して3月から4月頃になると甘くなり、糖度は12度を越すそうだ。お酒や料理との相性が良いらしい。

富田農園の「げんこう果汁」は、唐津市のふるさと納税の返礼品にも選ばれている。

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