こんなお店があったなんて...! 遊郭の街・吉原で食べられる「メチャ映えパンケーキ」に驚愕
2021年12月5日、大人気アニメ「鬼滅の刃」(フジテレビ系)の待望の新シリーズ「遊郭編」の放送が始まった。
「遊郭編」は主人公らが遊郭に棲む鬼を討伐する任務に挑むストーリーで、舞台となるのは東京の吉原遊郭だ。
吉原遊郭は、江戸幕府から公認された遊郭の1つで、当初は現在の日本橋人形町あたりにあった(元吉原)。その後、明暦の大火を経て現在の東京都台東区千束3~4丁目あたりに移される(新吉原)。日本三大遊郭の1つにも数えられた吉原だが、1957年に売春防止法が施行され、その歴史に幕を下ろした。
現在でも特殊な風呂屋が立ち並ぶ吉原は、「鬼滅の刃」遊廓編の放送に伴い再び注目を集めているようで、12月7日付の「東スポWeb」の記事によると、「鬼滅の刃」ファンに吉原に巡礼をする人もいるという。
そこで、Jタウンネット編集部では吉原での聖地巡礼をより楽しめる、おすすめのグルメを紹介したい。
2021年12月15日、Jタウンネット記者は、かつて遊女らの進行を集めた神々をまつる吉原神社の真向かいにある「福カフェ」を訪れた。
かつての遊郭におしゃれカフェ!
2012年にオープンした「福カフェ」は、「アボカドぶたしゃぶ丼」や「ガパオライス」といったフード類やパンケーキを提供している。
特にパンケーキが人気を集めており、
「通いたくなるおしゃれで美味しいお店。ご飯もパンケーキも店内もセンスの塊」
「こんなに美味しいパンケーキが食べられるなんて幸せ」
「やっぱりここのパンケーキは間違いない!!」
など、ツイッターには多くの評判が寄せられている。
今回、記者は多くの人を虜にしている「福カフェ」の看板パンケーキ「ストロベリーポップクリームパンケーキ」を注文してみた。
厚みのあるパンケーキにたっぷりのイチゴ、さらにストロベリーフレーバークリーム、キウイが盛り付けられ、クリームの下にはアイスクリームも隠されている。
ストロベリーフレーバークリームの優しい甘さ、冷たくて濃厚なアイスクリームの甘味が最初に口を支配する。
ただ、このパンケーキは甘いだけでは終わらない。甘さの後には、パンケーキの生地にある卵の風味、ほんのりとした塩気が訪れる。そして、イチゴの果実も口に入れると今度は酸味も楽しめるのだ。
塩味、甘味、酸味、バラバラな風味が集まっているが、絶妙なバランスが取れている。1つ1つの味に役が与えられており、1つの皿の上で演劇が繰り広げられているようで、飽きがこないのだ。食べ終わるころにはスタンディングオベーションを送っていた。
偶然始まった吉原での商売
ストロベリーポップクリームパンケーは単品で1540円(税込=以下同)。単品でも十分に楽しめるが、平日1990円、土日2090円のクリームソーダセットもある。
パンケーキ同様、かわいらしい見た目のクリームソーダで甘味のアンコールを楽しめる。
見た目だけでなく味でも楽しませてくれる。訪れた者に食のエンターテインメントを提供してくれる「福カフェ」だが、最寄りの地下鉄・三ノ輪駅から徒歩10分以上もかかり、一大観光地である浅草からも少し距離がある吉原に店を構える理由は何なのか。
15日、筆者は「福カフェ」の店長・平松亜輝夫さんに話を聞いた。
――なぜ、吉原に店を構えたのか。
「元々は、浅草で店をやりたかったんです。福カフェは2012年にオープンしていますが、2011年に物件を探していました。ちょうどこの時、東京スカイツリー開業(2012年5月に開業)の直前で浅草の需要が高まっていて良い物件がありませんでした。
それで範囲を広げて、偶然物件があった吉原で店を持つことになりました。ただ、吉原は商売が非常に難しい土地です。よっぽど個性がない店でないとやっていけません。福カフェも最初3年はきつかったです」(平松店長=以下同)
――「きつかった」との話ですが、挽回のきっかけとなった出来事は何か。
「店を始めて数年経って、近くにおしゃれなカフェらしき店ができたんです。実際はスパゲッティの店だったのですが、当時は間違いなくライバルになると思って危機感を覚えました。
それで本腰が入って、それまでやっていなかった生のフルーツを使ったパンケーキを提供し始めたところSNSで話題が広まりました。
その後には、2018年4月にもフジテレビの番組『ドラマツアーズ』の『あまいけいきさんオススメベスト10』というランキングで1位になったんです。これが追撃となってさらにお客さんが来てくれるようになったんです」
――開業から9年経った現在でも吉原に店を構えて良かったと思うか。
「以前は、いずれ浅草で店をやりたいという希望を持っていました。ですが、今はここ(吉原)が気に入っています。吉原は、三ノ輪駅からも遠いですが、その分、お客様が探検気分で来てくださいます。土日には列ができることもありますし、悪いことはないです。
ステイホーム期間中には、ウーバーイーツで多くの注文をいただいて店を賄っていました。ただ、それだけではありません。もし浅草で店をやっていたら、コストが多くかかっていたでしょう。それが吉原で店をやっていたので賃料も安く、コストがかなり抑えられたんです。吉原でやっていたからこそ、コロナ禍の傷も浅いほうで済みました」
始まりこそ偶然だったものの、今では吉原を愛し、吉原からも愛される存在になった「福カフェ」。鬼滅の聖地巡礼の際に、おいしいパンケーキと優しく明るい店長に会い行くのはいかがだろうか。