いったい誰が?何のために? ビルの脇に設置された「細すぎるドア」の謎を追う
「いったい、なんの意味があるの?」
そんな疑問を抱かずにはいられないヘンテコな「ドア」があると、ツイッター上で話題になっている。
実際に見かけたらまず二度見するに違いない光景が、こちらだ。
こちらは、東京都の多摩地区でミュージシャンとして活動する「カタオカツグミ」(@tsugsan)さんが、2021年10月25日にツイッターに投稿したもの。
手前の低いブロック塀と奥の建物の間にある細いすき間。それを塞ぐようにして、これまた細い扉が設置されている(と言っても、ドアの先も丸見えではある)。
きちんとドアノブまで付いているところを見ると、ちゃんと開閉することができるのだろう。それにしたって、人間一人が通れるかどうかも怪しいほどの狭さだが......。
この光景に対し、ツイッター上ではこんな声が寄せられている。
「太ってる人入れないやーつ!」
「飾りドアかと思いきやちゃんと開閉するぽいですねー?」
「異空間に繋がってるやつだな」
「どこでもドアの類だろ、多分」
このドアは一体なんなのか。Jタウンネット記者が謎を追った。
10年以上前からあったらしい
カタオカさんが話題のドアを見つけたのは、小平市にある「あかしあ通り」でのこと。
現在は解体撤去されているものの、この扉の左隣(ブロック塀があるほう)にはつい最近まで猛禽類専門のペットショップがあり、店舗前の歩道上にタカやフクロウなどを展示していた。
その鳥たちを見たくて、カタオカさんはよく同地に自転車で立ち寄っていたそうだ。
「ペットショップが存在していたころはドアのことを全く気に留めていませんでしたが、今年に入ってから店舗が解体撤去されたらしく、この極細ドアだけが隣の敷地内にあったためか残されていました」(カタオカさん)
カタオカさんは、解体作業が行われてからしばらくの間は、これがペットショップの残骸だとは気づかなかったという。
Googleストリートビューでこの場所を見てみると、最も古い記録である2008年の画像では、少し不鮮明だが同じドアのようなものが確認できる。また、10年の記録でははっきりとドアが映っている。
――なぜ、こんな細いすき間にドアが設置されたのだろうか。
その答えを、ドアが設置されているビルの一階で畳・襖の製造販売を行う「フォーユー」の代表取締役・吉岡克将さんが教えてくれた。
細い人であれば通れなくもない
27日、記者の取材に応じた吉岡さんによると、細すぎるドアが設置されたのは「防犯」のためだという。
「以前、ここにあった猛禽類のペットショップに泥棒が入るという事件があったといいます。そこで、うちの店が入っているビルの大家さんが泥棒よけのために設置したそうです」(フォーユー・吉岡社長)
フォーユーがビルに入居したのは16年。それ以前は商店が入っていて、そちらに泥棒が入る可能性も考慮してのことだったそうだ。
ペットショップの建物が無くなったことで、防犯という観点からは意味が無くなってしまったようだが、現在も路地にゴミが投げ捨てられるなどの事態を防止するために残しているという。
なお、このドアは「一応、細い人であれば通れなくもない」程度。
「今のところはもっぱらフォーユーの従業員が掃除用具を置いておくロッカー代わりに使っていますね」
と吉岡さんは語った。