「夜を切り裂いて朝がきそう」 秋の星空にひときわ輝く「火球」が激しく幻想的
「とんでもない流星が撮れたので見てほしい」
そんなコメントと共に投稿された一枚の写真が、ツイッター上で反響を呼んでいる。
遠くまで続く山々。その上空には、見渡す限りの満天の星空が広がっている。
写真上部には、中央にある3つ星が特徴的なオリオン座もはっきりと見える。夜でも明るい市街地などからではなかなかお目にかかれない、ロマンチックな光景だ。
その中でも際立っているのが、左側の眩い光の「線」。まるで夜空に一筋の切れ込みが入り、その向こう側から光が差し込んでいるかのようだ。
絵画だと言われたら納得してしまいそうな幻想的なこの一枚に、ツイッターではこんな声が。
「星の誕生かと思うような光ですね!」
「オリオンまで、、、出来過ぎじゃないですか!」
「夜空切り裂いて朝がきそう!」
「この写真を見ると、私達も宇宙の一員って感じますね」
こちらは、大阪府在住のアマチュア星景(星空が映った地上風景)カメラマン・関岡大晃さんが2021年10月25日に自身のアカウント(@hirography_321)に投稿した写真。26日夕時点で10万1000件を超える「いいね」が付くなど、反響を集めている。
Jタウンネット記者は26日、本人に話を聞いた。
「偶然撮影に成功したものです」
関岡さんはプロカメラマンを目指しており、普段は仕事の傍らで近畿の星空をメインに撮影しているそう。注目を集めた写真は、2020年10月24日に奈良県と三重県の県境にある大台ヶ原山の正木峠で写したもの。
「光の線」の正体は流星で、中でも特に大きく明るい「火球」と呼ばれる類のものだという。
「僕は、当時は『大台ヶ原の美しい星空を残す』をテーマに活動していました。そしてこの日はオリオン座流星群が撮れる期間だったので、それを狙いに足を運びました。
投稿した写真のように(足元の)木道を入れた構図で流星を撮りたかったので、3時間ほど同じ構図で撮影を続けていました」(関岡さん)
撮影時は、ズームレンズを装着した一眼レフカメラを使い、1秒間に自動で1枚の写真を撮影するようカメラを設定して臨んだそうだ。
「ターゲットは流星なので、もちろん狙ったわけではなく偶然撮影に成功したものです。
当日はオリオン座流星群が流れる可能性の高いタイミングだったので、自分の撮りたい構図で流星が流れるのを心待ちにしながら、ずっと同じ写真を撮り続けました」(関岡さん)
積み重ねたボツショットは、実に数百枚以上。さらに、撮影当時の正木峠では風速18キロメートル毎時の強風が吹いており、話題の写真を撮影した後には三脚ごとカメラが飛ばされて故障してしまったという。関岡さんいわく「修理代は20万円」。
かなりの苦労を伴いつつも激写した、まさにベストショットな一枚だったというわけだ。
今後これ以上の写真を撮れるかわからない
撮影した流星の写真に対し、改めて関岡さんに感想を聞いてみると、
「いや~、正直よく撮れたなと思います。タイミングと流星の角度が完璧でしたね。
僕は死ぬまで星を撮り続けるつもりですが、これ以上の写真を撮れるのだろうかと今から不安です」
と満足しつつ、
「ただ1つだけ問題点を言うと、実は少しだけ星のピントが甘いんです(笑)
普段は気をつけていてミスらないところなんですが、まさかこの時に限ってそんなポカをやらかすとは......でも、肝心なところで失敗するのは僕らしくて面白いなぁ~と思います」
と振り返った。