「宿が無くて困っていると、初対面のおばあさんが『うちに泊まってけ』。翌朝、お礼を渡そうとすると...」(神奈川県・40代男性)
「そんなんが欲しくて泊めたんじゃない」
「当時住んでいた静岡県からは約2時間半位の距離だったと覚えています。乗車した新幹線は各駅停車のこだま。道中の駅で飲み物と弁当を買って、車内では景色を眺めながらぼーっとして、気が付いたら京都手前でした」(T介さん)
京都に着き、特に目的もなくブラブラと散策していたT介さん。お昼前に清水寺方面に行き、三年坂などの賑わいを楽しみ、せっかくだからと清水寺を参拝することに。
「そんな事をしていたら、時刻は夕方。連休だからと思いつきで泊まる事にし、宿泊先を探すことにしました。が、GWと重なっていたためどこも満室でした」(T介さん)
このままでは今晩は野宿かも、とT介さんが困り果てていると......。
「立ち寄った土産物店のおばちゃんに泊まるところがあるか聞いたら、『あんた、泊まるとこないのか? だったらうちに泊まってけ。ここは私一人しかいないし、使ってない部屋があるから』と言われました。
人の良さそうな70代くらいの女性で、最初はいきなりで抵抗がありましたが、話をしているうちに打ち解けてお邪魔させていただくことにしました。私も人懐っこい性格なため、打ち解けるまでにそう時間はかかりませんでした」(T介さん)
T介さんが女性の家に上がらせてもらうと、なんとお風呂や夕食なども準備してくれたという。
「何か申し訳なく思って手伝おうとすると、逆に怒られてしまいました。その日はおばちゃんと遅くまで話をしたのを覚えています。
翌朝は味噌汁の匂いで目が覚めました。なんとも言えない懐かしく感じる家の匂い、朝の静かな感じ。何とも言えない感じでした」(T介さん)
翌朝、朝食をごちそうして貰ったあとに、T介さんは泊めてもらった御礼を彼女に渡そうとした。
すると......、
「そんなんが欲しくて泊めたんじゃない。息子から小遣いなんか貰えるか!」
と、またお説教されてしまったそうだ。
「結局、せめて最大限のお礼を言って後にしました。たった1日だったけど、母さんではなく『おふくろ』と呼べる人ができた旅でした」(T介さん)
「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!
コロナ禍で旅行に行きづらい今、せめて過去の旅行の素敵な思い出を振り返りたいという人も多いだろう。
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