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「見知らぬ土地で途方に暮れる小学生の私。知らないおじさんが『電車動かないから、おいで』とホテルへ...」(千葉県・40代女性)

福田 週人

福田 週人

2021.06.18 17:00
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「電車うごかないから、一緒においで。あとでお母さんに電話しよう」

S美さんは小学生のころ、夏休みは毎年祖母のいる山形で過ごしていた。

母親の仕事が忙しかったので、上野駅で見送ってもらった後は、山形に着くまでの列車ではいつも1人だった。

「小学校高学年の時の話です。列車が目的地へ向かうにつれて台風の影響がひどくなり、強風や豪雨で、特急が福島駅で止まってしまいました。
運転再開のめどが立たない状況で、外も暗く、小学生の私はさすがにどうしようもできず、止まった列車の自分の指定席に座ったままでした」(S美さん)

すると、S美さんの隣に座っていた30~40代くらいの見知らぬおじさんが、

「ひとりで来たの?」
「何年生?」
「どこから来たの?」

と声を掛けてくれた。それだけでなく、

「電車うごかないから、一緒においで。あとでお母さんに電話しよう」

と言って、福島ワシントンホテルで自分の分とS美さんの分の部屋2つを取ってくれたそうだ。

福島駅の列車で体験した「旅先いい話」(画像はイメージ)
福島駅の列車で体験した「旅先いい話」(画像はイメージ)
「私の部屋から一緒に母へ電話を入れて、それぞれの部屋で過ごし、少し経ったら『レストランでごはんを食べよう』と誘ってくれました。
私は緊張や不安でお腹が痛くなってしまい、注文したピラフもほとんど食べられずにいましたが、その男性は息子さんとの写真を私に見せながら『お風呂で一緒に英語の歌を歌ったりしてるんだよ』と、優しく話してくれました。
ホテルは豪華すぎて、そんな所へ行ったことのない私は驚き、食事のメニューもなんて書いてあるかよく分からずに、写真だけで選んだ記憶があります」(S美さん)

結局、S美さんはその日はほとんど眠れなかったのだが、翌朝におじさんが山形までのチケットも買ってくれて、最後に彼の名刺をもらって別れたという。

「これって、すごい話だと思いませんか?
列車が動かなくなったとはいえ、見知らぬ小学生にホテルを1部屋とってくれて、食事も、チケットも、なんてなかなかできないと思います。
スマホもネットもなく、まだ新幹線も通ってない時代でした。
あのとき列車にひとりでいたら、もしくは豪雨の中で外に出ても、お金も持ってないし何もできなかったと思います。
私にとって、この方はとてつもなく紳士で、あの時ぶっきらぼうで話もほとんどできなかった自分を悔やんでいます。夕食のピラフにほとんど口をつけなかったことも」(S美さん)

今となっては、あの時彼にお礼はきちんと言えたのか、S美さんはそれすら覚えていないという。後日、母親がお礼をしたのは知っているものの、当時もらった名刺ももう無いそうだ。

「大人になるにつれてもう一度、会ってきちんとお礼がしたいと思うようになりました。叶わないだろうとは思っていますが...。
見知らぬ子供に暖かい手を差しのべてくれた、あの出来事はずっと忘れられません。ほっこりを超えて、それ以上の出来事です(笑)
あの方に、私も今は母親になりましたと、ありがとうございましたと、伝えたいです」(S美さん)

「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!

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