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あなたの「プライベートな時間」は何円? 「セイコー時間白書」でわかる、コロナが生んだ新しい価値

大久保 歩

大久保 歩

2021.06.08 19:00
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新型コロナウイルスが人びとから奪ったものは計り知れないが、同時に、それによってもたらされたものもある。

通勤時間や会社での飲み会などの時間が減少。かわりに、趣味に費やす時間が増えた。そして、今後もその時間を維持したいと考える人が多いようなのだ。

セイコーホールディングスは、6月10日「時の記念日」にちなみ、「セイコー時間白書2021」を2021年6月8日に発表した。17年から実施している、生活者の時間についての意識や実態を探る調査だ。

画像はイメージ

21年は、コロナ禍によって多様化した「時間の使い方」を様々な質問から掘り下げた。

調査期間は21年4月28日~5月10日。対象は全国の10代~60代の男女1200人(各年代男女100人ずつ、10代は15歳以上)。

見えてきたのは、コロナ禍だからこそ生まれた「新しい時間の価値」だ。

自分の裁量で使える時間が増加

調査で「コロナ禍で増えてよかった時間」、「コロナ禍で減ってよかった時間」、また増えてよかった時間の中で「今後も維持したい時間」を聞いたところ、「増えて良かった時間」「維持したい時間」両方の項目で、「趣味の時間」が第1位、「家族とのコミュニケーション時間」が第2位という結果に。

一方、「減って良かった時間」としては「会社の飲み会・食事会の時間」が1位に君臨した。2位は「通勤時間」、3位は「会社以外の飲み会・食事会の時間」と、続く。

「コロナ禍だからこそ経験できた幸せな時間の使い方」として、こんな声もあがった。

「早く帰れるようになって出来た時間で、家族と一緒に夕食のだんらん時間が増えた(熊本県 37歳男性)」
「料理にチャレンジするようになり、料理ってなかなか面白いぞと思うようになった(東京都 59歳男性)」
「今まで仕事をしすぎていたことに気づかされ、職場を選ぶ、働き方を選ぶ、という選択肢をとれるようになった(新潟県 35歳女性)」

幸か不幸か、コロナ禍によって自分の裁量で使い方を決められる時間が増えた。

その結果、それぞれが自分のペースに合った豊かな時間の使い方に気づき、実践するようになったようだ。

プライベートな時間の価値が過去最高に

「時間白書」では、対象者が「自分の1時間の価値」に値段をつけている。

過去の調査と比べて大きく変化したのは、プライベートな「オフタイム1時間の価格」だ。

21年の「オフタイム1時間の価格」(平均)は、1万2992円。17年の結果である6298円に比べて、2倍以上の価値がつき、これまでの観測の中で最高額に達した。

これに対して、仕事や家事・勉強をするオンタイムは1時間4253円。

21年のオフタイムとオンタイムの「時価」の差は8739円。

趣味や家族と過ごす時間が増えたコロナ禍で、自由に使える時間により高い価値を感じている人が増えたというわけだ。

しかし、特に若い世代では、増えた自由時間の使い方に戸惑っている人も多い。

学生は「世の中とかかわる時間を増やしたい」

対象者に「コロナ禍による時間の使い方の意見」を聞くと、「自ら使い方を決められる時間は良いけれど、持て余していると感じる」「人にゆだねていた時間も今思えば良かったと思う」と半数以上の学生が回答した。

また、コロナ禍の影響で「何もしない時間が増えた」と半数以上の学生が回答している。これは他の属性の人々に比べ、突出して多い。

さらに、60.1%の学生は「世の中とかかわる時間を増やしたい」とも考えているようだ。

これからどうすればいいのか、いまどう過ごせばいいのか。学生たちは自由な時間の使い方がわからず茫然自失となっていることが窺える。

コロナ禍での経験を、コロナ後に生かすために

そんな学生たちにとって2020年は、例年より速い速度で過ぎ去っていったようだ。

1年間を振り返り、「それまでの年に感じていた時間の速度を1としたとき、2020年の時間の速度はどのくらいに感じたか」を聞くと、学生の回答の平均は「2.57」に。

他の属性の人々に比べ、やはり突出して高い数字だ。

なぜ学生たちはコロナ禍で時間が過ぎていくのを速く感じたのか。

心理的アプローチによる「時間学」を提唱する、千葉大学大学院の一川誠教授は、「時間白書2021」でのインタビューで

「思い出に残ることが極端に少ない時間を過ごすと、そのときは長いと感じても、振り返るとあっという間に感じがちです。
本来は時間の経過が速く感じる上の世代よりも学生の世代の方が大きな影響を受けたのは、この世代が本来体験すべきことの多くが失われてしまったから、と考えられます」

と考察。

思い出に残るようなイベントがあまりにも少ないまま過ごしたため、思い出したときに何もしないままあっという間に1年が過ぎてしまったような心地がするのだろう。

一川誠教授

そこで一川教授は、

「オンラインサークルで友達と一緒に活動したり、今だから体験できる、今しか体験できないようなことをやってみることが有効だと思います」

とアドバイスしている。また、

「コロナが収束した後、私たちの生活はコロナ前にただ戻るのではなく、コロナ禍で得た知識や経験、事例やノウハウ、スキルなどをナレッジとして生かし、有効活用できる社会にできるといいですね」

と、前向きな見解も述べた。

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