秋葉原の駐車場が「無法地帯」化 横行するたばこのポイ捨てに千代田区「吸い殻持ち帰る習慣が無い喫煙者が...」
東京都・秋葉原(千代田区)のとある駐車場で、たばこをポイ捨てする人が後を絶たない。
敷地内に、「喫煙は所定の喫煙所でお願いいたします」とポスターが掲示されているにもかかわらずだ。
たばこの吸い殻が、一面を埋め尽くしている。たばこを吸っている人もいる。
ここは、JR秋葉原駅電気街口を抜けてすぐにある、高層ビル「UDX」近くのパーキングエリア。付近には、ドン・キホーテ秋葉原店やアニメイト秋葉原新館があり、行き交う人は少なくない。
ツイッターユーザーの癒鈴(@yuri_996sps)さんは2021年5月16日、
「これなんだと思いますか?全部タバコです。秋葉原最大の闇、、、#Akiba」
という呟きとともに1枚の写真を投稿。SNS上では「これは酷い」「マナーがなってない」という声が寄せられている。
そもそも千代田区では、区内の生活環境の改善を目的とした「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」(生活環境条例)を、2002年10月1日から施行している。この条例により、皇居を除く区内全域が「路上禁煙地区」となっている。
駐車場は、路上ではないが......いかがなものかと顔をしかめたくなる光景だ。
千代田区は、この現状を把握しているのだろうか。
区「2年ほど前から苦情が寄せられており、SNSへの投稿なども把握しています」
まず、Jタウンネット記者が5月18日、投稿者の癒鈴さんに、吸い殻が散乱していた場所について話を聞くと、
「私はたばこを吸わないので秋葉原のどこに喫煙所があるか詳しく把握していませんが、ここのパーキングだけは喫煙所ですらないのにいつでも喫煙者がいて煙たいイメージがあります。
この日はいつにも増して酷かったので思わず写真に収めてしまいましたが、このような現状は喫煙者のマナーとモラルが問われますし、何より私の好きな秋葉原のイメージを悪くしていることが悲しいです」
と答えた。
同日、千代田区広報広報広聴課を通じて、区の路上喫煙を取り締まる安全生活課にも取材を申し入れると、25日に回答があった。
投稿の駐車場で、ポイ捨てが多発しているという現状は把握していたか。それはいつごろからか。そもそもこの場所は、「路上禁煙地区」という認識で間違いないのか――。記者の質問に、担当者以下のように回答した。
「当該駐車場は、2年ほど前から苦情が寄せられており、SNSへの投稿なども把握しています。
千代田区では『生活環境条例』に基づき、皇居を除く区内全域を『路上禁煙地区』に指定しており、道路上や公共の場所での喫煙行為に対して、罰則(過料処分)や注意・指導を行っていますが、駐車場などの敷地については、条例の適用外となっています」
やはり、駐車場は「路上」ではないから、なかなか対応ができないのだろうか。いや、そうでもないという。
話題になっている駐車場については、管理者が禁煙としているため、区として対策を行っていた。
「この駐車場での対策として、駐車場管理者と連絡をとり、喫煙及びポイ捨て禁止をお願いするポスターを駐車場内に掲示しています。
また、青色回転灯パトロールカーが付近を走行する都度、立ち寄り、当該駐車場は管理者が禁煙としている場所であることを伝え、退去してもらっています。
その際は区内喫煙所を案内する『SMOKING AREA MAP』を配付しています」
担当者によると、千代田区では、専門の非常勤職員を中心とした区職員が毎日、皇居を除く区内全域のパトロールを行い、路上喫煙の指導・取り締まりを行っている。朝の通勤時間帯や昼間だけでなく、夜間帯にも実施し、他にも路上喫煙に関する掲示物の設置や配布などもしているそうだ。
そのパトロールの中で、問題の駐車場にも立ち寄っているという。
とはいえ、その目を盗んでたばこを吸い、ポイ捨てする人は後を絶たない。
なぜこの駐車場でポイ捨てをする人が多いのだろうか。担当者は、こう述べた。
「本来喫煙する場所ではないため、灰皿などの設備が無い上に、吸い殻を持ち帰る習慣が無い喫煙者が多いと考えられます」
ポイ捨てされた吸い殻は、この駐車場のように個人・企業の所有地の場合、清掃は基本的にその個人や企業が行うという。
なお、路上の場合は国・都・区・私道管理者などの各道路管理者が行うが、地域住民等がボランティアで清掃を行っている場合もあるそうだ。
千代田区公式サイトの「千代田区生活環境条例」に関するページには、「取り締まりは、地域の方々や警察などの関係行政機関と密接に連携・協力して行います」とある。
千代田区では、禁煙の場所でたばこを吸っている喫煙者を、地域住民等が報告することがあるのだろうか。
「区では人員的・予算的な制約もあり、一律に『喫煙110番』的な対応をとることは出来ません。また、過料は行政罰であり、指導員が現認したもののみが対象となるため、写真や映像などがあっても、それを元に取締まりをすることはできません。
そこで、路上喫煙に対するパトロールを効果的かつ効率的に行うため、場所・ルート・頻度などを工夫し、条例の実効性を高めるよう努力しています。また、地域の方々や警察の方々には、『この場所、この時間に多くの喫煙者がいる』といった地域の情報をお寄せいただいています」
喫煙所ではない駐車場が、このような状況になっていることについて区はどのように受け止めているのだろうか。担当者は、
「『改正健康増進法』や『東京都受動喫煙防止条例』の施行により、受動喫煙に対する意識の高まりがある一方、上記法・条例による規制やコロナ禍における密やクラスター発生防止の観点からビル内の喫煙所が閉鎖されるなどの影響により、喫煙場所が減少し、喫煙者が特定の場所に集中してしまう状況が顕著になっています。 区では、このような状況に対して、路上禁煙の指導・取締まりを行うだけでなく、公衆喫煙所の設置や民間喫煙所への助成金の交付などで喫煙スペースを確保することにより、喫煙者と非喫煙者が共生できる環境づくりを目指しています」
と回答。この駐車場への今後の対応については、
「現在行っている対策を根気強く続けると同時に、ポイ捨てをする人たちのモラルやマナーが改善されるよう、行政が積極的に取締りや啓蒙活動が行うとともに、駐車場管理者の適正な管理も必要であると考えます」
とした。
最後に、吸い殻をポイ捨てする人に対して、伝えたいことを聞いた。
「千代田区の『生活環境条例』が規制するのは、あくまで喫煙の場所や方法についてです。
私的空間・民有地での個人の喫煙行為そのものまでを規制するものではありません。ぜひ、マナーを守って、お互いに気持ちの良い快適な環境つくっていきましょう」(担当者)
この駐車場から徒歩3分ほどの場所には、紙巻きたばこも吸える、無料のIQOSサービスステーションもある。
たばこは、所定の場所で(あたりまえだよ...)。
(5月25日22時40分追記:記事初出時、本文中に一部誤字がありましたので、修正しました)