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関東人に「かっぱげ!」と言われても、河童の毛の話をしているわけではありません

井上 慧果

井上 慧果

2021.05.04 18:00
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日本各地には、その地域でしか伝わらない言葉――方言が多く存在している。

そのため、何かを説明するときに

「あれっ、この言葉伝わらないの...?」
「地元なら一言で表現できるのに...」

と、地元以外の場所でもどかしい思いをしている人も多いとか。

Jタウンネットではそんな方言の情報を全国の読者から募集している。

今回は、地元以外では意味が変わる方言として、関東地方で使用されている「かっぱぐ」を紹介する。

地域で意味が少しずつ違う

60代の会社員の男性から編集部にこんなメールが届いた。

「茨城県西部、栃木県南部では、ものをかき集めるような仕草を『かっぱぐ』と言います。
これの命令形は『かっぱげ!』
しかし、他の地方出身者にこう言うと『河童毛?なんですか?それ』と返されてしまいます」

かっぱげ......。

確かに、いきなり言われても「河童?」ときょとんとしてしまうかもしれない。

このかっぱぐという言葉、日本方言大辞典(小学館、ジャパンナレッジ版)で調べてみると

「掻剥」

という漢字で

「なぎ払う」

という意味で、神奈川県の方言として掲載されていた。

だが、神奈川県横浜市出身・在住の筆者(20代)の身の回りで、「かっぱぐ」という言葉が使われていたことはない。もしかしたら県内でも別の地域、あるいは上の方の世代で使われているものなのかもしれない。

また、辞典の使用地域には神奈川県とあったが、投稿者は「茨城県西部、栃木県南部」と言っており、ツイッターでも

「栃木じゃ、剥がすを『かっぱぐ』とも言うような...」
「埼玉県には『水かき(スクレーパー)で水をかくこと』を表す『かっぱぐ』って方言がある」
「父と話をしていてまた埼玉の方言(西関東方言)を見つけた
かっぱぐ:掻き集める、掃き出す、掻き分ける」

といったようなつぶやきが見受けられた。

掻いて集めるだけではなく...(画像はイメージ)
掻いて集めるだけではなく...(画像はイメージ)

かき集める、なぎ払う、剥がす......。関東各地で、少しずつ違った意味で使われているようだ。

また、「かっぱぐ」は方言としてだけではなく、専門用語としても使われている。

「麻雀上達サイト雀」によれば、麻雀の世界では

「勝ちまくって点棒を大量に得ること」
「点数を荒稼ぎすること」

を「カッパぎ」「カッパぐ」という。方言の「かっぱぐ」が使われるようになったという説が有力のようだ。

また、清掃用語では水を切るワイパーのことを

「カッパギ」

と呼ぶそう。

試しに、業者向け用品を取り扱う「モノタロウ」のネットストアで「カッパギ」と検索すると床や窓ガラスの水を掻きだすのに使う水切りワイパーやドライワイパーが多数出てきた。

掃除に使うカッパギ(画像はイメージ)
掃除に使うカッパギ(画像はイメージ)

どちらも方言「かっぱぐ」がもとになっているという説はあるが、地域に関係なく完全に「業界用語」として使っている人も少なくなさそうだ。

方言として使っている人の中でも、また専門用語として使っている人の間でもすれ違いが起きてしまいそうなほど幅広い意味を持つ言葉だった。

あなたの地元の「標準語だと意味が変わる方言」教えてください

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、あなたの地元と、そこで使われている「標準語とは意味が違う方言」、その使用例(200文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

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