秋葉原に「IoTピザ屋」が爆誕 超小型コンピュータ「Raspberry Pi」を駆使した窯で焼かれる最先端ピザとは
IoT(Internet of Things、モノのインターネット)×ピザ――電気街・秋葉原にぴったりな組み合わせのお店があると、ツイッターで注目を集めている。
これは、ツイッターユーザーのソネケンさん(@sonken625)が2021年4月24日に投稿したもの。
秋葉原に、窯やベルトコンベアが「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」(教育目的で開発された超小型コンピュータ)で制御されているピザ屋があるという。
情報工学には明るくない記者だが、なんとなく最先端っぽいことはわかる。
リプライ欄では、「使うのはラズベリーパイなのに作るのはトマトピザ」というツッコミに対して、このお店「おとめし」の公式アカウントが、
「ラズベリーソースのraspberry pi(zza)でございます」
と、ラズベリーピザの写真を投稿するという華麗な対応も。
いったいどんなお店なのだろうか......。Jタウンネット記者は27日、未来屋台「おとめし」の店主・村田一樹さんを取材した。
週ベースで機能を拡張
東京・秋葉原駅―御徒町駅間の高架下にある専門店が集まるスペース「SEEKBASE」に未来屋台「おとめし」がオープンしたのは、3月3日のこと。村田さんは「進化するIOTピザ」を掲げるこの店を、「秋葉原を面白くするため」に始めたと言う。
記者が「ピザは全自動で提供しているんですか?」と尋ねると、
「全自動じゃないです!(泣)、現在の全自動度は10%くらいです」
と、村田さん。まだ進化途中のようだ。
自動化によって省オペレーションがなされているのは、主にピザを焼く工程。
「普通のピザ屋台の場合は盛り付け担当と焼き担当に分かれて窯の中のピザの位置を調整しつつ焼くのですが、(「おとめし」では)盛り付け後は窯が自動で焼いてくれるので複数注文が来ても一人で対応できる窯というのが省オペレーションです」
と、教えてくれた。
気になるRaspberry piは、ピザ窯の温度管理を行っている。一定の温度以上になると、ヒーターをオフする仕組みだ。
焼く前のピザ生地をベルトコンベアにのせるとこの窯の中まで運び込まれ、焼きあがるとまたコンベアにのって窯から出てくる。
「盛り付けてる間に焼けるのでオーダーが何枚もあったときに先に2枚コンベアの上にのせて焼いておいて、(人は)残りの盛り付けをしたりできるので普通の窯より効率が良いはずです」(村田さん)
とのこと。
ベルトコンベアの動作やスピード管理も、Raspberry Piで窯内の温度を参照して制御できるようにしたいそうだが、まだこの部分は手動。
ただ、機能の拡張や修理は週ベースで行っているというので、Raspberry Piで出来ることはどんどん増えていくだろう。
「『進化するIoTピザ』という名前もその心がけから来ています」
と村田さん。
先週お店を訪れたときと今週とでは機能が増えて進化している、ということもザラにあるかもしれない。
ちなみに、ピザ窯もキッチンカーも全て手作り。
キッチンカーは、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」で「ピザをハックする!IoTピザ窯のキッチンカーを秋葉原でやりたい!」というプロジェクトを立ち上げ、資金を調達。「クイックデリバリー」(移動販売車)を購入し、中身を空にして改装した。
とことん自分で作る、その姿勢が表れている。
秋葉原でロボットバトルリーグも?
そんな未来屋台「おとめし」でいちばん人気のメニューは、「マルゲリータ」(700円、税込み。以下同)。「煮豚とブロッコリー」(800円)も人気だ。
今後の展望を訊くと、
「借りているスペースが広いのでIoT猛者を集めて秋葉原高架下ロボットバトルリーグを開きたいです」
と、ワクワクする話を語ってくれた。
ピザ好きもメカ好きも大満足できそうな、未来屋台「おとめし」。どこまで進化するのか、未来の姿が楽しみだ。