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「大乱獲警報」「滅亡しました」 通販サイトのオモシロ表記、その意味が深かった!

大久保 歩

大久保 歩

2021.03.04 17:00
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「滅亡しました」
「ただいま『大乱獲警報』発令中です」
「あのひとへの奇策」

......ずいぶん仰々しいが、すべてとあるECサイトに並ぶ文言である。

そのサイトとは、「深海マザー」のECサイト。

ここで売られている、カップ麺のフタとして使えるグッズ「カップメンダコ」を紹介したあるユーザーのツイートが話題になり、いま注目を集めているのだ。2013年4月にオープンし、自社オリジナルの深海生物グッズを専門に取り扱っている。

各種グッズのシュールなかわいさはもちろん、サイト内の文言が非常にユニークなのも、注目されている理由の1つ。

たとえば、通常なら「購入する」と書かれるであろう箇所には「捕獲する」の文字が。「売り切れ」は「滅亡しました」、「贈り物にもおすすめ」という内容のページには「あのひとへの奇策」......なかなか個性的だ。

いったい、なぜこのような表記をしているのだろうか?

Jタウンネット編集部は21年3月3日、深海マザーの企画製作担当者を取材した。

まさに最強のフタ

「深海マザー」は、深海生物をモチーフに雑貨を製作・販売している企業だ。同名の自社ECサイトだけでなく、水族館やバラエティショップなどでも販売している。

取材に応じた担当者によると、

「異界に棲む『深海生物』を、人の住む世界、特にお部屋の中へ迎え入れるとしたらどのように迎え入れたらおもしろいかを考えデザインした雑貨を製作して販売しています」

とのこと。

そのコンセプトどおり、手掛けているのはどれも個性的なグッズばかり。しかも、どれもハンドメイドだという。

ツイッターで注目された大人気商品「カップメンダコ」(写真は「深海マザー」提供。以下、同じ)
ツイッターで注目された大人気商品「カップメンダコ」(写真は「深海マザー」提供。以下、同じ)

ツイッターで注目を集めるきっかけになった「カップメンダコ」全28種の他、同じくカップ麺のフタになる「カップグソクムシ」、ダイオウイカの形をしたペーパーカッター「妖刀ダイオウイカッター コハダ」、さらには「カップメンダコ携帯用ネット」まで......!

いろいろな意味で視線を集めること間違いなしの「カップグソクムシ」
いろいろな意味で視線を集めること間違いなしの「カップグソクムシ」

商品を手に取って吟味できないECサイトの場合、購入ページの商品説明が重要だが、「深海マザー」はそこも尖っている。

「ダイオウグソクムシをそのまま乗せたようなカップ麺のフタ。主に前の3対6本の脚で、剥がれた紙蓋をふさいでくれるキッチンで便利なグッズです。(中略)様々なダイオウグソクムシグッズが存在していますが、そのほとんどがグレーを基調としたカラーリングです。カップグソクムシのデザイナーは、実際にダイオウグソクムシの生体に触れたり、様々な写真を見たりした経験から、感覚に正直でリアリティのある色にすることにもこだわりました」(「カップグソクムシ」の説明)
「極めて高密度で強重力な光さえ呑み込む天体【ブラックホール black hole】をイメージして作陶されました。質量と電荷を持つライスナー・ノルドシュトルム・ブラックホールです。
陶器特有のずっしりとした重量感と存在感でカップラーメンの蓋を押さえつけるその様は、ある意味、最強のフタだと思わせる風格があり、安心して仕事を任せることができます。(中略)陶芸作品が作られていく様は、宇宙の営みや成り立ちそのものだと感じることができます」(「カップメンダコ ポテリー ライスナー・ノルドシュトルム・ブラックホール」の説明)
「カップメンダコ ポテリー ライスナー・ノルドシュトルム・ブラックホール」
「カップメンダコ ポテリー ライスナー・ノルドシュトルム・ブラックホール」

いったいなぜ、このような説明を採用しているのだろうか。

「絶滅」ではなく「滅亡」

「滅亡」や「捕獲」「乱獲」などユニークな表記の理由を尋ねると、熱い答えが返ってきた。

「オンラインショップには様々な深海生物たちが棲んでいます。それらを画面から覗き込むだけで新鮮ですが、見ているうちに手に入れたくなってしまう場合があります。そこで『捕獲する』ボタンを見つけてしまったら自然に押したくなりますよね。
さらに捕獲対象の深海生物が最後の1匹だったとします。すると、かわいそうだと思いながらも捕獲してしまうと思います。人間の本能といいますか、本質的な部分なのでしょう。この流れで『売切れ』や『SOLD OUT』だと雰囲気が台無しですので、『滅亡しました』と表示させています。本来生物に対して使用する『絶滅しました』よりも、環境(生息地)ごと手中に収めてしまうイメージのほうが物欲的な達成感があると考えているからです」(担当者)

サイトを見た人がどんな気持ちで購入に至るのかを考え尽くした上で、現在のような形に設計されているというわけだ。その工夫が功を奏してか、いちばん人気の「カップメンダコ」シリーズをはじめ、多くの深海生物たちが「滅亡」状態となっている(4日時点)。

さらに、担当者は

「ショッピングを楽しみながらこのような疑似的な体験をすることで、現実の場でも人が自然や生物と接する時になにかを感じとるきっかけになってもらえたら一番うれしいです」

と、続けた。たかが表記、されど表記。一般的なECサイトのように「購入」ではなく「捕獲」とするところに、店の世界観が反映されているのである。

また、ツイッターで注目を集めていることについては

「率直にうれしいです。1日の間に100件以上のご注文と200匹近くのカップメンダコの乱獲がありました。
売上の面では本当にありがたいことですが、深海生物というニッチな存在が多くの方々に周知されることは、深海グッズの背負った役割や使命を果たすことにもなりますので、社会貢献できたような気分になれて心が満たされます」

と、喜びをあらわにした。

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