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「恥の多いライフを送ってきました」 ラノベすぎる「人間失格」の帯に「嘘は言ってない」の声

大久保 歩

大久保 歩

2021.03.03 20:00
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「人間失格」といえば、誰しも題名は聞いたことがあるだろう日本の名作文学である。

「恥の多い生涯を送ってきました」――こんな書き出しで始まるこの作品は、昭和期に活躍した文豪・太宰治(1909~1948)によって著された。

彼の代表作の1つであり、初版が出版されてから現在までに、さまざまな出版社から販売されている。

そして今、ツイッター上で話題になっているのが、こちらの「人間失格」だ。

これは、ツイッターユーザーのパナソニーさん(@panasonynet)が、2021年2月27日に投稿したものだ。新潮文庫の「人間失格」に、何やら目を引く帯が巻かれている。

ピンクと黄色をメインに、ポップな字体で「恥の多い!?生涯(ライフ)を送ってきました...」という文が踊る。

さらに、

「葉蔵を取り巻く妖艶な美少女たち」
「カフェスタッフ・雑誌記者・バーのマダム・煙草屋の娘etc.」

と、まるで美少女ハーレム系ライトノベルを彷彿とさせるコピーで埋め尽くされている。

もちろん、いずれも「人間失格」のストーリーを反映したものだ。

物語に登場するのは、主人公・葉蔵と、それを取り巻く4人の女性――ツネ子(カフェスタッフ)・シヅ子(雑誌記者)・マダム(バーの女主人)・ヨシ子(煙草屋の娘)。彼女たちが葉蔵とどのような関係を築いていくのか、まだ読んだことのない人は、ぜひ自分の目で確かめてほしい。(決して美少女ハーレムものを期待してはいけないが......。)

この、ある意味、古典を現代風に解釈し直したと言えなくもない帯に、ツイッターでは

「何でもいいから売りたい感ありあり」
「嘘は言ってないしね!フォントとかって大事なんだなあ(遠い目)」
「まだ読んだことないけど、内容はこんな感じなのか...」

などの声が寄せられている。作品の世界観はどこにいってしまったのかと、動揺している人も多い。

いったい、どうしてこのような帯が?

Jタウンネット編集部は3月2日、投稿者のパナソニーさんに詳しく話を聞いた。

「太宰先生も苦笑い」

ある意味、手に取りたいかも(写真はパナソニーさん提供。編集部でトリミング)
ある意味、手に取りたいかも(写真はパナソニーさん提供。編集部でトリミング)

取材に応じたパナソニーさんによると、なんとこの帯は、自らIllustratorで作成したものだそう。

詳しくは語らなかったが、かつてないユニークなアイデアである。

大きな声では言えないが、記者も実際の商品と思い「出版社に取材しようと思います」と編集長に相談してしまった。危ないところだった......。

この帯に対する反応として、「こんな売り方をするなんてガッカリした」など、実際に販売されているものと思い込み動揺する声の他、

「太宰先生も苦笑いしてらっしゃるに違いない」
「内容とのギャップがすごすぎてコーヒー吹きそうになった」
「帯も時代に合わせてるんですねww」

など、内容は合っているからこそ、笑いを誘われた人もかなりいたようだ。

過去、実際に販売された「人間失格」の帯や表紙には、様々なバリエーションがある。

たとえば、簡素な無地の帯に「太宰文學の最高傑作」と太字で書かれたものや、映画版で主人公を演じた生田斗真さんや、「人間失格 太宰治と3人の女たち」で太宰役を演じた小栗旬さんが大きく映っているもの。漫画家の小畑健さんがイラストを手掛けたものもあった。

まさに、あらゆる角度から売ろうとする出版社の気概が感じられる。

そんな「人間失格」だからこそ、「こんな帯もあり得るかも...」と動揺してしまった人もいるのだろう。

パナソニーさんが作った帯はもちろん、実際の書店に並んでいるわけではない。でも、もしかしたらいつの日か、「人間失格」がラノベ風に宣伝される日も来るかもしれない......?

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