「昔は、たばこが安かった」←いったい、どのくらい?たばこの歴史と社会情勢を探る
メビウス(マイルドセブン)は発売当初「150円」
「たばこと塩の博物館」は東京スカイツリーから歩いて10分ほどの場所にある。
館内の常設展示室では、たばこの起源や世界中に伝播した経緯、日本への伝来など、現代にいたるまでの歴史を、喫煙具などの資料とともに紹介している。
その一角にあるのが、明治から現代までの日本のたばこ産業史を紹介する「たばこメディアウォール」だ。壁一面に当時のたばこのパッケージや広告が張り出されている。
筆者が吸っているメビウスは、発売当時いくらだったのだろうか。
「メビウス」という名前の銘柄が登場したのは、2013年2月。1977年に発売された「マイルドセブン」の名称が変更された形だ。なので、発売当初のマイルドセブンの価格を調べてみると、なんと150円。
現在の価格は、当時の3.6倍というわけだ。
また筆者の友人が吸うセブンスターは、1969年の発売当初は、100円。現在は、560円で販売されているため、約50年で価格は5.6倍に...。
――なぜ、昔はこんなにもたばこが安かったのだろうか。
同館学芸部長で日本近代史やたばこ産業史を専門とする鎮目良文(しずめよしふみ)さんが、筆者の疑問に答えてくれた。
鎮目さんは、
「それは1904年から1985年まで、国がたばこを製造して販売していたからです」
と説明する。
「いわゆる国が1社で売っているようなものなので、一般企業では、なかなかできない効率化ができていました。
製造コストをなるべく低めにし、安く沢山売って、その収益を税収としていたのです」(鎮目さん、以下同)
江戸時代に日本に伝来した、たばこ。明治時代から続くというその課税の歴史を遡ってみよう。