もはや「ラ・ヤマガタ」と呼ぶべき? ラ・フランスの大半はフランスではなく山形で作られていた
秋の味覚の一つ、ラ・フランス。西洋なしの品種のひとつで、香りがよく柔らかい食感が特徴とされる。
そんなラ・フランスに関する説明書きが、衝撃的だとツイッターで注目を集めている。
それがこちらだ。
これは2020年11月1日、ツイッターユーザーのゆいたそ(@yuitaso_me)さんが
「そーなの!?」
と驚くコメントを添えて投稿した画像だ。
「果物の女王 ラ・フランスのご紹介」として、
「あまりのおいしさに『わが国を代表する果物』と称えられ、『ラ・フランス』の名前がついたと言われています」
といった名前の由来などが説明されている。
その中でも、どうやら投稿者は、下線がひかれたこの部分に驚いたらしい。
「(ラ・フランスは)病気に弱く栽培が難しいため、世界で生産しているのは日本だけとなり、その7割が山形で栽培されています」
ラ・フランスという名前から、てっきりフランスから輸入している果物だとばかり思っていたが、なんとほとんど山形県で生産されているものらしい。
この投稿にツイッターでは
「ラ・ヤマガタじゃん...」
「実質、山形はフランス」
「山形県の農家さん、有能すぎる」
「ずっとフランスから輸入されてるんだと思ってた...」
といったコメントが寄せられている。
フランスでは生産終了
Jタウンネットが2日、投稿者のゆいたそさんに話を聞いたところ、この説明書きは山形県上山市にあるペンション ノエルが実施する「NOEL ふるさと直送便」というサービスで、ラ・フランスを購入した際に添付されていたものだそう。
Jタウンネットは4日、ペンション ノエルのオーナーに話を聞いた。
同ペンションでは、オーナー自ら農家を回って厳選したさくらんぼやブルーベリーぶどう、ラ・フランスなどの果物を販売しているという。
今回のラ・フランスの説明書きに関しても、オーナーが地元の農家から聞いた情報と自身で調べた情報をあわせてまとめたものとのことだった。
そこで、Jタウンネットも改めてラ・フランスについて調べてみると、山形県のホームページに
「ラ・フランスは、開花は早いのに収穫が遅く、生育期間が長いために手間がかかる。山形県では土づくりから剪定、摘蕾・摘果、収穫、追熟など官民一体となり研究努力を進め、1985年頃までに生産体制を確立させた」
と記載があった。山形県のラ・フランスへの情熱を感じる歴史だ。
とはいえ、山形県がラ・フランスに力を入れていることは分かったものの、実際どのくらいの量が作られているのだろうか。また、本当にラ・フランスのほとんどが山形県産なのだろうか。
Jタウンネットは4日、山形県 農林水産部 園芸農業推進課の果樹振興担当を取材し、話を聞いた。
早速、国内産のラ・フランスの中で山形県産のものが占める割合を尋ねると、担当者は
「農林水産省が公開している17年度の特産果樹生産動態等調査によれば、山形県が国内の栽培面積の83.7%を占めているという結果が出ています」
と説明。話題となった投稿では7割とあったが、実際は国内産のラ・フランスの8割以上が山形県で栽培されたものということになるらしい。
では、説明書きにあった「生産しているのは日本だけ」という情報は本当なのか。県の担当者に聞くと、
「原産国のフランスでは現在生産されていないということは把握しているのですが、世界中で栽培されていないかどうかは分かりかねます」
とのことだった。
残念ながら、日本でしか作られていないかどうかは定かではないようだ。しかし、少なくともフランスでは栽培されていないらしい。
それならばもはや、「ラ・ヤマガタ」と呼んでも間違いではない、のかもしれない。