厳島神社の「工事現場ライトアップ」が神秘的と話題に 修理中なのになぜ?市に事情を聞くと...
海に浮かぶ姿が印象的な厳島神社(広島県廿日市市)の大鳥居。
残念ながら、2019年6月から、約70年ぶりに大規模な修理工事が行われているため、現在は見ることができない。
だが、その工事中の姿が「これはこれで神々しい」とツイッターで注目を集めている。
こちらは、厳島神社まで徒歩3分の立地にある温泉旅館「錦水館」のウェブサイトに掲載されている、現在の大鳥居を映した写真だ(撮影は同社代表取締役社長武内智弘さん)。
周囲には箱状に足場が組まれ、全体がシートで覆われているため、大きな鳥居の姿は全く見えない。しかし、明るくライトアップされた工事現場が金色に光り輝き、海面に反射している様は不思議と神秘的だ。
あるツイッターユーザーがこの写真について、「これはこれで付加価値高い」と呟いたところ話題になり、
「こんな荘厳な工事現場の写真初めて見る」
「パルテノン神殿のような神々しさを感じます」
「これは観に行きたいわ」
などの声が上がっている。
今しか見られない、希少価値の高い光景
錦水館がこの写真を掲載しているのは、ナイトツアーやナイトクルーズなどに関する情報が書かれているページだ。なぜ、この写真を使っているのだろう。
Jタウンネット編集部が20年10月30日、同館の支配人に電話取材したところ、
「鳥居の写真を使ってしまうと、鳥居が見えるという風に誤解を招いてしまうので、あえて今のこの工事の足場のかかっている状態を見ていただけるという意味で、この写真を使っています」
とのこと。宮島に来る観光客の中には、鳥居が工事中であると知らず、「せっかく来たのに鳥居が見えない」と漏らす人もいるという。
そういった人たちに現在の状況を認知してもらうため、というのがサイトに写真を載せている1番の理由だそうだ。
また、工事期間中しか見ることができない光景なので、あえて見てもらっているという意味合いもある、と支配人。
「いい風景かどうかって言うと微妙ですけど...。私自身も30年いて初めて見る光景ですし、もっと上の世代の方、60代、70代の方にとっても、こんな感じの足場を組んでいるのは初めての光景だと思います。
昭和の前半の工事の時にも足場はありましたけど、丸太を組んだものだったので、(今回の工事の様子は)本当に希少価値があるとは思いますね」
と語った。
工事現場のライトアップは夜間、毎日されており、潮が満ちている際はシーカヤックなどで、干潮時は歩いて足場の近くまで見に行けるそうだ。
工事現場をライトアップする理由は
では、なぜ工事現場のライトアップは行われているのだろう。
編集部は11月2日、ライトアップを行っている廿日市市役所にも取材した。
同市役所の宮島支所によると、工事現場は毎日、日暮れから23時まで明るく照らされている。大鳥居の工事が始まる以前から、鳥居を照らしていた照明で現場をライトアップしているそうだ。
工事が始まってからもライトをつけている理由を聞くと、
「ずっとついていたものが消えてしまうのも寂しいということで、神社さんとも話をして、そのまま引き続きやりましょう、とやっています」
とのことだった。
海に浮かぶ幻想的な大鳥居を見ることができないのは残念だが、こんなに神秘的な工事現場もないだろう。この貴重な姿を見に行かないのは、逆にもったいないかもしれない。
なお、厳島神社のウェブサイトでは、大鳥居の改修工事の終了予定日は「未定」となっている。