ハダカデバネズミの群れには、自分の体で赤ちゃんを温める「ふとん係」が存在するらしい
積み重なって「もぞもぞ動きながら」...
Jタウンネットが18日、埼玉こども動物自然公園に取材したところ、このポスターはハダカデバネズミを展示している「eco(エコ)ハウチュー」内に掲示されているという。
これは同園が制作したもので、「ハダカデバネズミに興味をもっていただくきっかけになればと思い設置しました」とのこと。
ポスターには、ハダカデバネズミたちは地下にトンネルを掘り、多い時は200頭にもなる群れで、役割分担をしながら生活していることが書かれている。
同園の担当者によると、「女王」は群れに1頭だけいて、数頭の「王さま」と交尾をすることでハダカデバネズミは繁殖する。ハダカデバネズミたちの役職は生まれつき決まっているわけではなく、成長しながら決まっていくそうで、女王や王さまが死亡した場合には、他の個体と入れ替わるという。
「兵隊」はヘビなどに襲われた際に立ち向かう役割を担っており、その他の係は「そのままの意味です」とのこと。食料を運んだり、巣になる穴を掘ったり、巣を掃除しているようだ。
では、「ふとん係」は何をしているのか?
「そのままの意味です」の意味を取りかねた筆者は、ハダカデバネズミについて詳しく書かれた書籍「ハダカデバネズミ 女王・兵隊・ふとん係」(著・吉田重人、岡ノ谷一夫)を読むことにした。
同書によると「ふとん係」のハダカデバネズミたちは、文字通り「肉のふとん」になるという。
その仕事は、「幾重にも積み重なってもぞもぞ動きながら子どもたちを保温する」こと。ふとん係は子どもの養育期間中にのみ必要になる役割で、普段は他の仕事をしているハダカデバネズミが一時的にこの職につくそうだ。
「ハダカデバネズミの豆知識」に書かれている「哺乳類なのに自分での体温調節が苦手」というのが、ふとん係が必要になる理由らしい。
ちなみに埼玉県こども動物自然公園では、現在約50頭のハダカデバネズミを飼育しているが、ハダカデバネズミがいる「夜行性ゾーン」は新型コロナウイルス感染症対策のため入ることができない。
ただ、入り口手前にあるガラス窓からその様子を少しだけ覗くことができるという。
担当者に、飼育されているハダカデバネズミたちが、役割に分かれて仕事をしていることを見ることはできるのか尋ねたところ、
「基本的には寝ていることがほとんどですが、時間によってはエサを運んだり、おがくずを移動させたりする様子を見ることができるかもしれません」
とのことだった。