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転職サイトで「大阪市の区長」募集中 一体なぜ?市役所に理由を聞くと...

横田 絢

横田 絢

2020.10.13 06:00
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2020年10月12日現在、複数の転職希望者向け求人サイトにちょっと珍しい職種の募集情報が掲載されている。

それは、「区長」だ。

応募資格は「組織マネジメントの経験のある人」(画像は「エン転職」の募集ページ)
応募資格は「組織マネジメントの経験のある人」(画像は「エン転職」の募集ページ)

募集しているのは大阪市。

政令指定都市である大阪市には、24の行政区がある。それぞれの区のトップに立つのが区長だ。

そんな責任重大な職業が、まさか転職サイトで募集されているなんて――。ツイッターでは、

「大阪市の区長ってマイナビで公募してるんだな......。」
「ほんとだ。中身見たけど、本気で区長になれるようです。」
「区長がマイナビで契約社員 流石にたまげたぁ~」

と驚きの声をあげる人もいる。

「月給83万5000円以上」

「マイナビ転職」に掲載された大阪市区長の募集ページを見ると、仕事内容の欄には、

「所管する区の特性や実情に応じた施策の展開、自律的な区政運営」

との説明が。また給与欄には、「月給83万5000円以上」「年収(税込)1400万円程度」とある。

実は大阪市の区長が転職サイトで募集されているのは今回だけではない。

過去にも複数回にわたって同様の求人が掲載されており、

「転職サイトに大阪市区長があった」(2019年9月)
「大阪市が転職サイトで区長募集してるんだけど、思い切ってて面白いなぁ。受けようか。」(2016年9月)
「転職サイトに登録してたら、大阪市の公募区長でオファーきた」(2016年9月)
「区長の募集って転職サイトにも出るんだねぇ...。」(2015年9月)

などのつぶやきも見つかった。

多くの場合、行政区の区長は、市長が一般職員の中から任命する。堺市(大阪府)や新潟市などでも公募されていた例はあるが、両市に問い合わせたところ、外部のサービスを用いての募集は行わなかったという。

大阪市は、なぜ転職サイトを使って区長を募集しているのか。Jタウンネット編集部は、同市の人事室人事課を取材した。

同市では、橋下徹氏が市長を務めていた2012年から、区長の公募を行っている。

ただ、公募に関する業務を担当する職員によると、初めから転職サイトを活用していたわけではないという。

一回目の公募は話題性が高くメディアに大きく取り上げられていたこともあり、外部のサービスに頼らずとも1461件もの応募があった。

しかし、その後の公募では露出が減ったためか、応募者の人数も少なくなっていった。そこで14年の採用の時から、市のウェブサイト等での告知と併せて、転職サイトでの掲載も始めたそうだ。それからは公募のたびに、3社ほどのサイトと契約しているという。

20年10月の公募は、「マイナビ転職」「エン転職」「doda」の3サイトに掲載されている。

区長の公募に転職サイトを利用する理由は2つ。

1つは、幅広く人材を募ることができるため。もう1つは、区長という職業を募集するにあたっては、転職希望者をターゲットにした求人サイトが適しているから、とのこと。

「区長というのは、いわゆるマネージャー層の公募になりますので、転職を考えられている方の中にそういった方が一定程度いらっしゃるのではないかと」

と担当者。また、公募に転職サイトを活用したメリットを聞くと、

「転職サイトを活用いただいている方というのは今、現に転職をお考えの方で、尚且つ一定程度のご経験を積んでおられるということになると思いますので、本市が求めている人材とある程度マッチしてくることがあるのかな、と考えております」

と話した。

なお、昨19年に行われた公募(区長と健康局長を募集)には107人が応募したが、そのうち36人が転職サイトを通じて応募していたという。

ちなみに、採用された場合は地方公務員法に基づいて「一般任期付職員」という位置づけになるが、民間のサイトではそういった表記がない場合もあるので、形態として最も近い「契約社員」と表記されることがあるという。

「マイナビ転職」の募集ページでは契約社員扱い
「マイナビ転職」の募集ページでは契約社員扱い

任期は1年ごとに更新されるが、適格性に問題がなければ4年間が基本となる。

現在の区長の中には、公募で区長となり、任期終了後に再度応募し、別の区の区長になっている人も複数いるそうだ。

ぜひ「区長」になってみたい――。そんな野望がある人は、一度転職サイトを覗いてみてはいかがだろうか。

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